リターン・オブ・ザ・グリフィン/ジョニー・グリフィン
ヒーロー放つスーパーアルバム
我らがヒーロー、ジョニー・グリフィンの「スーパー・アルバム」だ!!
なんてことを言うと、子供向けのアニメやヒーロー向けの煽りみたいだが、臆面もなく、ベタな煽りが使えるほど、過剰ともいえるほどのエキサイティングさと、ロマンティックさがこれでもかと封じ込まれているアルバムだ。
アップテンポでは思いっきりエキサイティングに。
スローテンポでは、思いっきり情感を込めて。
一歩間違えると、ベタなぐらいストレートで分かりやすいな表現だが、「おおっ!そうなんだよ、分かるぜグリフィン!」と身を乗り出している自分がいる。
モンクとの熱い共演を思い出す
彼のテナーのサウンドの、太いこと太いこと。
彼のフレーシングの逞しいこと逞しいこと。
パワフルで豪快。
無敵のテナー奏者、ジョニー・グリフィン。
一曲目のアグレッシヴに吹きまくる《枯葉》を聴けば、このパワフルさは、ご納得いただけよう。
この《枯葉》が、『リターン・オブ・ザ・グリフィン』の目玉曲なことは確かだが、個人的には、3曲目の《ア・モンクス・ドリーム》が気に入っている。
さすが、モンクとの共演歴のあるグリフィンのこと、モンクのムードを壊すことなく、素晴らしい演奏に仕上げている。
これを聴いて、「ファイブ・スポット」での熱いモンクとのセッションを思い出すのは私だけではないだろう。
パリに10年、その後オランダに移り、家族と共に暮らしたグリフィン。
そんな彼が、彼がおよそ15年ぶりにアメリカにツアーで帰米した際に吹き込まれたのがこのアルバムだ。
逞しいブロウ。
一言、かっこいいです。
ジャズサックス奏者におすすめの1曲
それと、もう1曲。
《コンファメーション》のコード進行に則った《フィフティ・シックス》もお勧め。
とくに、ジャズ演奏の初心者にも練習用課題曲としてもお勧めしたい。
《コンファメーション》は、《枯葉》とともに、ジャズ演奏をする上での、ツーファイヴ進行の格好な教科書となる曲だが、いかんせん、テーマが難しい。
とくに、伴奏楽器のベースやピアノにとってはそれほどでもないにしても、管楽器にとっては、ある程度の技量がないと、流暢には吹けないテーマではある。
しかし、《フィフティ・シックス》のテーマはそれほど難しくない上に、魅力的なのだ。
さらに、これぞコード分解から生まれるメロディアスで魅力的な旋律!
とでもいうべきメロディを応酬するグリフィンのテナーも、おいしいところ満載で、最初はグリフィンフレーズをパクッて吹けば、練習にもなる(笑)。
もちろん、聴くだけでもエキサイティングで楽しい演奏なので、楽器をやっている人だけに独占させてしまうのは勿体ない。グリフィンの魅力がたっぷりと詰まったこの演奏は、グリフィン入門者にも最適なのだ。
記:2003/08/06
album data
RETURN OF THE GRIFFIN (Galaxy)
- Johnny Griffin
1.Autumn Leaves
2.When We Were One
3.A Monk's Dream
4.The Way It Is
5.Fifty-Six
6.I Should Care
Johnny Griffin (ts)
Ronnie Mathews (p)
Ray Drummond (b)
Keith Copeland (ds)
1978/10/17
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動画でもこのアルバムを語っています。