【雑誌紹介】追悼・坂本龍一特集『MUSIC MAGAZINE 2023年6月号』
2023/07/01
先日発売された『MUSIC MAGAZINE 2023年6月号』。
特集は、「追悼・坂本龍一」。
おお、読まな!と思い、急いでAmazonでポチッたのですが(もうこの表現は死後?)、届いたことをすっかり忘れていました。
あわてて、内容チェック!
この『MUSIC MAGAZINE 2023年6月号』を立ち読み感覚で軽く紹介した動画をアップしています。
コメント
人力飛行機さんからのコメント。
6:13「あー読まないとね。全然届いたこと忘れていましたね。ハイ(笑)ということで。まだ店頭にあると思うので、興味のある方は手に取ってごらんになっていただければと思います」私も、届いてるのに読んでない雑誌や本ありますねーこの『MUSIC MAGAZINE 2023年6月号』は表紙がカッコイイ。たぶんまだ店頭にはありますね。中身を見せてくれたのでわかったけど追悼してる人脈広いですね。さすがに。descographyも完璧でファンが喜びそうな。
少し前に坂本さんが亡くなってまもなくこのチャンネルで教授の追悼動画があったとき、昔1986年の教授の吉本隆明対談『音楽機械論』から中島みゆき評を取り出して、書いたんですけど。あの時よりもさらに具体的に再現すると、彼はそこで語っているのが、音的には「次のコード進行が読めてしまう」「情報量が少なすぎてつまらない」言葉的には「こちらに意味をくみ取ろうとさせるところが鬱陶しい」とか言ってる。難癖つけすぎだしあんなわかりやすい歌謡(分かりにくいものも中にはあります)が苦手っておかしんじゃないか、欠陥があるんじゃないか、て私は書いたんですねえ。ファンには悪かったですが(笑)生のままが苦手という人なんでしょうね。そういう自意識をお持ちなんでしょう。
でその後、ところが色んなネット記事とか調べていくうち、坂本さんが中島みゆきのレコーディングに参加していたってことが分かった。だとしたら間近にその姿をみてバンドで共演していたってこと。調査する必要ありとみなして、坂本さんが中島みゆきについて、吉本対談よりも前に喋ってる本『中島みゆき ミラクルアイランド』(1981年)を入手。読んでみました。1977年アルバム『ありがとう』に坂本さんがスタジオミュージシャンとして参加したときのことが語られて、+中島みゆきという人の作品の変貌についても喋っていた。それによると、まずレコーディングのとき、本人から「こういう曲よ」とギターで弾いて教えてくれた。その後、スタジオから嗚咽が聴こえてきた。見回すと、中島みゆきがギター弾きながら嗚咽していた。それは自分はオソロシかった。そういうコメントがあります。「オソロシ」って(笑)こんな精魂こめて歌うリハから嗚咽してる人と共演できるミュージシャン冥利に尽きるだろうそんな歌手この業界のどこにいる?って言いたいところです。まそれはともかく。
それと、ここが私が教授を見直した個所なんですが。彼が言うには、その当時は彼女はシンガーソングライターの一人にしか見えなかった。しかし、「悪女」(1981年)のときに、彼女は、自己を生のままをもう一度俯瞰して、その視点から書くことを覚えたようだ、と喋ってる。坂本さんの言い方で「自分を一度解体して作り直すことを覚えたようだ」ここが読んでてさすがというか。私が思うのは中島みゆきという人は今では皆が「あの人は凄い!」と口を揃えるしかし最初から上手い人ではなかった。作詞作曲も、歌唱も、徐々に上手くなった。途中から事実か虚構か、どっちともとれるような書き方を覚えていった。或いは、パッと見た目では気づかない、複雑な構造を歌詞で構築するようになっていった。しかし、そう思って聴いてると、元々彼女の作家体質があって、虚構で架空の夢を構築できる、また他人に自己を移し置き、憑依できるだからリアリズムが醸し出される、或いはエールがリアルである、ことが見えてきた。だから彼女が自分の歌で夜会みたいにドラマを構築してドラマの主人公を演じだすのは必然的だった。元々歌世界が前衛演劇のような幻想を湛えてもいた・・・、坂本さんも私と違うけど変貌を読み取って、そういう体質、物語を再構築するようになったと、1ランク上がったって言ってたんですね。
ただ、ここで一言するなら、坂本さんが参加した『ありがとう』の中でも、既に一筋縄ではいかない言葉の世界を構築してはいたんですけどね。一回聴いたときと数回目聴いたときと、見えてくるメッセージが変わってくる。そんな作品をもう書いてただから「悪女」から変わったわけではない。彼は実は気づいてなかった。まあ彼が仰る通り、引いてしまってあまり歌詞とか聴いてなかったのかもしれません。
そういう発言読んで、作りこみ方の一皮めくれた、自分を客観視するようになったを聴き分けてるところがさすがだなと見直しました。やっぱりよく視てるなと。基本的には違う道の人だなとは思いますけど(笑)