ソー・マッチ・ギター/ウェス・モンゴメリー

   

ロンの参加が効いている

ジャケットでポーズをキメているウエス、カッコイイですよね。 ギターを持たずに、ウェスの全身が写っているジャケ写も、さり気なく珍しいような気もする。

珍しいといえば、ハンク・ジョーンズの参加も珍しい。

ツボを抑えた趣味の良いピアノがトレードマークの彼。

このアルバムでも、ウエスを陰ながら非常にうまく盛り上げています。

コンガのレイ・バレットの参加も効いてますね。

ソウルフルなテイストに仕上がっているのは、彼が生み出すウネリがあるからこそ。

ゴキゲンかつ、ダイナミック。

1曲目の《ツイステッド・ブルース》から一気にアルバム世界に引き込まれる。ノリもグイグイと強引な上に、なにより、ギターのみならず演奏全体の音像が少々歪み気味で、このザラついた触感が、かえってグルーヴィな黒さを増長させているような気がしてならない。

オーディオ的にはかなりラフな音だとは思うが、ラフでだからこそ味わえる興奮でもある。

また、ロン・カーターのベースが非常に良いことも書いておかねばならない。

余計なことをせず、ひたすらバッキングに専念したロン・カーターのベースワークは、なんて素晴らしいんだろう。

ヘナヘナなベースソロを取ることが売りなベース奏者ではなく、リロイ・ヴィネガーのように「刻み一発」のベース奏者であって欲しかった。独特なノリを生み出せる人なのだから。

マイルスとの共演はもちろんのこと、このアルバムように、ソロをとらずにバッキングに専念している音源を聴くたびに、そう思わずにはいられない。

ロンが奏でる4ビートの沈み込むようなじんわり感が、なんとも言えず黒くて心地よいのだ。

気軽に楽しめるウエスの隠れた傑作であると同時に、ロン・カーターのじんわり黒い「4つ刻み」を楽しめるアルバムが『ソー・マッチ・ギター!』なのだ。

記:2010/01/15

album data

SO MUCH GUITAR! (Riverside)
- Wes Montgomery

1.Twisted Blues
2.Cotton Tail
3.I Wish I Knew
4.I'm Just a Lucky So and So
5.Repetition
6.Somethin' Like Bags
7.While We're Young
8.One for My Baby (And One More for the Road)

Wes Montgomery (g)
Hank Jones (p)
Ron Carter (b)
Lex Humphries (ds)
Ray Barretto (conga) #1,2,3,5,6

1961/08/04

 - ジャズ