スター・ダスト/ジョン・コルトレーン

2022-06-08

カジュアル気分で聴ける名盤

私は、ふだんコルトレーンといえば、アトランティックやインパルスのもの(いわゆる中・後期ですね)を聴くことがほとんどで、あまりプレスティッジ時代のコルトレーンは聴かないのだが、最近は、『スタンダード・コルトレーン』とか、『スターダスト』なども聴くようになってきた。

「コルトレーンは過激でこそ、コルトレーンだ!」いう思いは今も変わらないのだ、最近は、少し音楽の趣味も丸くなってきたこともあり、「中庸なコルトレーン」もいいかな、と。

これに開眼させてくれたのが、ケニー・バレル(g)との共演盤『ケニー・バレル・アンド・ジョン・コルトレーン』と、ミルト・ジャクソン(vib)との共演盤『バグズ・アンド・トレーン』だった。

両盤ともにコルトレーン1人がリーダーではなく、双頭リーダー作だということが興味深い。

この2枚で聴けるコルトレーンは、礼儀正しい。

一歩引くことをわきまえている。

俺が、俺がと自我を全開させずにアンサンブルのことをキチンと考えた演奏をしている。

だから、バレルのギターとも、ミルトのヴァイブともとっても溶け合っていて、素晴らしいのだ。

これぐらいのスタンス、温度感、テンションでいい意味でリラックスして聴けるのがプレスティッジに残された『スターダスト』だ。

必要以上に意気込んでないところがいい。

だからといってダレていないところがいい。

《スターダスト》は超がつくほどの名曲ゆえ、誰が演奏してもよほどヒドい演奏ではない限り、そこそこ聴けてしまう曲でもある。

よって、コルトレーンの彷徨うようなテナーのアドリブも、彼のキャリアの中においては傑出したプレイというわけでもなく、むしろ凡演な演奏といっても良いぐらいだが、「そこそこ」聴けてしまう不思議さがある。

これは演奏後半のレッド・ガーランドのピアノにしろ、ポール・チェンバースのベースにしても同じことがいえる。

むしろ、この《スターダスト》の演奏で良いプレイをしているのは、ウィルバー・ハーデンのフリューゲルホーンだと思う。

しかし、この演奏は、コルトレーンにしろガーランドにしろ、頑張り過ぎずに「そこそこ」な演奏が、かえって愛着と親しみを覚えるという面白さがある。

特に問題作を数多く発表しているコルトレーンなだけに、彼のアルバムを聴くときは、他のジャズマンを聴くときの日常的気分とは一線を画する場合が多い。

しかし、プレスティッジ時代のアルバムの多くは、そのような気構えが不要な録音も多い。

普通にいける、構えることなしに聴ける肩の凝らないコルトレーン。

ユルめのコルトレーンの演奏も悪くない。

「ユルさもまた味わい」。

そう感じさせてしまう魅力も、たしかにコルトレーンにはあることが分かってきた。

記:2009/02/24

「コルトレーンはバラードがいい」という言葉

長らく持っているつもりで、持っていなかったアルバムが『スターダスト』だった。

だから、先日、慌ててタワーレコードで買った。

「コルトレーンを聴きたい」、というよりも、《スターダスト》という曲そのものが聴きたかった。
名曲だからね。

もっとも、いまだに『バラード』をシラフでは聴けない私だが、この《スターダスト》は、ふつーに良かった。

曲調が、「誠実・ぶっきらぼう」なコルトレーンの吹奏にピッタリあっているのだ。

もっと言ってしまえば、コルトレーンは、ちょっと女々しい、いや、本質はかなり女々しいんじゃないか?というところもあり、そういう他のテナー奏者のようにセンチメンタルさを廃しきれない弱さみたいなところが、いや、考えようによっては「俺はオトコだ!」と虚勢を張らない(張れない?)バカ正直な愚直さが、かえってよかったりもするし、おそらく、「コルトレーンのバラードが好きだ」という人が多いのも、もしかしたら、そういう人間的な誠実さ、愚直さが、音にあらわれてシンミリさせるからなのかもしれないな、なんて、《スターダスト》を聴きながら、考えていた。

にしても、「コルトレーンはバラードがいい」という言葉、コルトレーンの主要アルバムをチェックした上で出た言葉なのか、それとも、『バラード』と、数枚だけしか聴いてない上で発した言葉なのかによって、ずいぶん言葉の深さと重みが違う。

後期のコルトレーンが大好きで、しかも『バラード』が好きだと書いている奄美大島「サウンズパル」の高良氏の文章を読めば、「そうか、俺の聞き方は浅かった。もう一度聴きなおしてみよう」と思うんだけど、『バラード』しか聴いてなさそうな人が、バーのカウンターで「ねぇねぇマスター、コルトレーンの『バラード』かけてよ、うーんやっぱりコルトレーンはバラードがいいねぇ」なんて抜かしてる「にわか通」を見ると、「コレ聴いてから家! 聴いたのか?聴いたのか?聴いたのか?」と、『ライヴ・イン・ジャパン』や『インタステラースペース』をCDプラスチックケースごと耳に捻じ込みたくなるのは私だけでしょうか? はい、きっとオレだけです(笑)。

加筆:2009/03/13

album data

STARDUST (Prestige)
– John Coltrane

1.Star Dust
2.Time After Time
3.Love Thy Neighbor
4.Then I’ll Be Tired Of You

John Coltrane (ts)
Wilber Harden (flh) #1
Ferddie Hubbard (tp) #4
Red Garland (p)
Paul Chambers (b)
Jimmy Cobb (ds) #2
Art Taylor (ds) #4

1958/07/11 #1,3
1958/12/26 #2,4

ジャズ

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