スティーヴ・ライヒ

      2016/10/17

スティーヴ・ライヒ入門スティーヴ・ライヒ入門

「反復」は「力」なのだなと、まざまざと思い知らされるのがスティーブ・ライヒの一連の作品だ。

どの曲も基本的には同じようなモチーフの繰り返しでも、ドラマティカルにも展開するものもあれば(『砂漠の音楽』)、叙情的でノスタルジックな顔ものぞかせる『Different Trains』、そよ風のようなパット・メセニーのギターが心地よい『Electric Counter Point』、緊張と弛緩の落差がたまらない『六台のマリンバ』に、単純な一本線がやがて複雑怪奇な図形を形成するまでの過程を覗きみるようにスリリングな『ドラミング』など、様々な表情が伺える。

単調な反復と微妙なズレが、逆にリアルに聴衆の心象風景を映し出すのかもしれない。

だから聴くたびに感触が違う。自分の心を映し出す鏡のような音楽?

好んで毎日積極的に聴く類の音楽ではないかもしれないが、ときおり思い出したようにCDラックから取り出して聴いている。

自然と手が出るんだよね。

なぜか?

おそらく、ライヒが送り出す「反復」が脳味噌の中をチューニングしてくれるからなのだと思う。

日々、仕事や読書で膨大な量の情報がインプットされて、あるものは脳内メモリーに堆積され、あるものは消去されていく。

けっこう内側では、ゴチャゴチャと複雑な作業が静かに行われている感触を感じるんですよね。
このゴチャトチャっぷりをスッキリと整理してくれる感触をライヒを聴いていると味わうことができるのだ。

個人的愛聴盤は以下の3枚♪

記:2000/06/07

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