『好きだ、』。久々に素晴らしい映画を観た。これはおススメ!!
2018/01/09
久々に素晴らしい映画を観た。
一昨年あたりから、映画を観る頻度を意識的に増やしている私。そのせいか、映画を観る目が中途半端に肥えてきてしまったキライがある。だから、ここのところ、あまり「これは凄い!」という映画にめぐり合えていなかった。
このサイトの映画鑑賞記録には、自分の評価を三ツ星評価でつけているのだが、今年観た映画のほとんどが☆の評価。
☆☆☆をつけたのは、ウォン・カーウァイ、スティーヴン・ソダーバーグ、ミケランジェロ・アントニオーニの3巨匠のコレボレーション作品の『愛の神、エロス』ぐらいなもんだもんなぁ。昨年だと、侯孝賢監督の『珈琲時光』ぐらいかな。
そんなもんだから、もちろん「つまらねぇ」ではなく、ほとんどの作品は、そこそこ楽しめてはいた。ただし、「そこそこ」なんだけど。
しかし、本日観た、石川寛監督の 『好きだ、』は、久々に「おぉ、これは凄い!面白い!」な映画でしたね。
なにはともあれ、空間の切り取り方と、余分な情報の削ぎ落とし方が素晴らしい。
空間の切り取り方といえば、侯孝賢監督の『珈琲時光』や、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の『危険な道筋』も空間の切り取り方にまずは、「おお!」となった作品だが、石川監督のフレーミングは、先述の2作品とはまったく違うタイプ。
とにかく、シャープで、余計な情報の削ぎ落とし方が素晴らしい。カットのひとつひとつが、いちいちアートなのだ。
とくに、空が綺麗。
空を素敵に思える映画は、個人的にはすごく掴みの大きな要素。
アントニオーニの『危険な道筋』も、スクリーンよりも大きな空と、波の音で惹かれたようなものだからね。
それに、今回の『好きだ、』は、ストーリーにしろ、カメラワークにしても、ギリギリのところまで情報を削ぎ落とし、こちらの五感と想像力に訴えかけてくる。
しかも、絞りに絞って残された情報の伝え方も、執拗だけれどもクドくなく、常に、爽やかさをともなっていて、うーん、なんと言えば良いのだろう、なかなかうまく伝えられないなぁ。
たとえば、韓国のホ・ジノ監督の、余白と風景の切り取り方の巧さを、をさらに徹底的にクールに煮詰めた感じというのかな。
石川監督の作り出した行間や余白はとてつもなく広く、鑑賞者がそこにめぐらせる想像力の自由さを保証してくれるのだ。
観終わったばかりなので、ちょっと興奮気味で、自分でも何書いているか分からないけど、この『好きだ、』は、今年の大きな収穫だった。
来年、シネカノンなどで公開されるようです。
movie data
監督・脚本・編集:石川 寛
プロデューサー:土屋尚士、石川 寛
制作:土屋尚士、日下孝明、松尾宗俊、石川寛
出演:宮﨑あおい、瑛太、西島秀俊、永作博美、小山田サユリ、真柄佳奈子 ほか
2004年作品
記:2005/12/02