スウェディッシュ・シュナップス/チャーリー・パーカー
のんびりパーカー
《カンサス・シティ・ブルース》が好きだ。
こういうノホノホンとしたバーカーも良い。
温泉にのんびりとつかっているような感じだ。
ちょっと「イモ節」の入ったパーカーのアルトは、リラックスしていて、とてもくつろげる。
温いがプレイは冴えている
温泉で思い出したが、そういえば、『スウェディッシュ・シュナップス』全体も、他のパーカーのアルバムにはない、温(ぬく)さがあると思う。
《ココ》や《ドナ・リー》のようにメロディ・ラインの起伏の激しい急速調の曲が収録されていないからなのか。
あるいは、パーカーのソロが安定して、まとまっているからなのか。
とにもかくにも、このアルバムからは、ほんわかとした温もりを全体に感じるのだ。
と、こう書くと、「ユルい」内容を連想されてしまうかもしれないが、そういうわけでもなく(ややこしい…)、《シ・シ》といい、《オウ・プリヴァーヴ》といい、溌剌としたメリハリのある演奏が続く。
全体的にパーカーのプレイは、パリッと冴えているのだ。
情感のこもった《スター・アイズ》は名演だし、ここでの《ラヴァー・マン》は好調。可愛らしいテーマの《ブルース・フォー・アリス》は、パーカーの愛奏曲の《マイ・リトル・スウェード・シューズ》とともに、彼のお茶目な一面を垣間見る思いだ。
マイルス、ドーハム、ロドニー
このアルバムは、3つのセッションから構成されている。
セッションごとにトランペット奏者が異なり、マイルス・デイヴィス、レッド・ロドニー、ケニー・ドーハムと3人のトランペット奏者が参加しているが、どのトランペット奏者も三者三様、異なる個性が味わえるので、長い間飽きずに付き合える内容となっている。
音数を節約したプレイのマイルス。
朴訥ながらも渋く味わいのあるドーハム。
とくに、このアルバムに関していえば、私はロドニーのプレイが好みだ。
メロディアス、かつ、一番パーカーのアルトと張り合うプレイをしているんじゃないかと思う。
パーカーの代表作に挙がることはあまり無いアルバムだが、パーカー好きにとっては、隠れ愛聴盤なんじゃないかと思う。
「私のパーカーベスト3」には挙がらないけれども、4枚目に挙がるようなスタンスのアルバム、ということで。
記:2004/02/16
album data
SWEDISH SCHNAPPS (Verve)
- Charlie Parker
1.Si Si
2.Swedish Schnapps (alt)
3.Swedish Schnapps
4.Back Home Blues
5.Back Home Blues (alt)
6.Lover Man
7.Blues For Alice
8.Au Privave (alt)
9.Au Privave
10.She Rote (alt)
11.She Rote
12.K.C.Blues
13.Star Eyes
14.Segment -tune X
15.Diverse -tune X(rare)
16.Passport -tune Y(rare)
17.Passport -tune Z(common)
Track 1-7
Charlie Parker (as)
Red Rodney (tp)
John Lewis (p)
Ray Brown (b)
Kenny Clarke (ds)
1951/08/08
Track 8-13
Charlie Parker (as)
Miles Davis (tp)
Walter Bishop Jr. (p)
Teddy Kotick (b)
Max Roach (ds)
1951/01/17
Track 14-17
Charlie Parker (as)
Kenny Dorham (tp)
Al Haig (p)
Tommy Potter (b)
Max Roach (ds)
1949/05/05