シンナーに気をつけろ!『カインド・オブ・ブルー』の《ブルー・イン・グリーン》
神保町「BIG BOY」のマスターは、スガシカオのことを、ときどき、間違えて、いや、たぶん半分冗談もまじえて、シガスカオと言うんだけれども、
昨日、『カインド・オブ・ブルー』をかけたときも、
《フレディ・フリー・ローダー》のことを
《フレディ・フロー・リーダー》と言っていた。
そう、BIG BOYで『カインド・オブ・ブルー』聴いたことないなぁ、とふと思ったので、お願いしたら、かけてくれたのです。
マスターも私も、マイルス、コルトレーン、キャノンボールのアドリブはすべて覚えているので(キャノンボールとコルトレーンは一部、怪しいところもあるけれど)、レコードがかかりだしたら、もう大変。
私とマスターで、裏声で、レコードに合わせて大合唱。
閉店したBIG BOYの店内で、いい年した二人のジャズ馬鹿がファルセットで、マイルス気分の奇声を発している(我々はそうは思っていないのだけど)姿を見て、マスターの奥さん、かなり呆れてました。
「やるじゃん、マスター。カインド・オブ・ブルー、そうとう聴き込んでますね」
「そりゃぁ、だって、なんだかんだいっても昔から聴いてますからねぇ。エヴァンスが参加しているから昔から大好きだったのよ」
そうか、マスターは大のエヴァンス好きだったんだな。
エヴァンスといえば、このアルバムには《ブルー・イン・グリーン》が入っている。
クレジットは、マイルス作だが、実質的にはエヴァンス曲。
マスターがこの曲にまつわる思い出を語りはじめた。
それはマスターが高校生のときのこと。
ビートルズの来日で日本中がにぎわっていたときのことだ。
友達の家で、マスターふくむ3人の高校生が、ビートルズを聴いて盛り上がっていたそうだ。
次に、『カインド・オブ・ブルー』をかけて気分を変えようということに。
3曲目の《ブルー・イン・グリーン》がかかったら、気持ちよくなって、3人とも寝てしまったのだそうな。
部屋にお菓子を運んできた友達のお母さんはビックリ!
大の高校生の男子3人が、ぐったりと床の上に大の字になっている……。
慌てたお母さんは、友達の部屋の窓を大急ぎで全開にし、3人をたたき起こしたのだとか。
なぜかって?
シンナー吸ってラリってると勘違いしたから。
そんなこと僕らやってませんよ~。
と、おどけてマスターは言っていたが、
《ブルー・イン・グリーン》の気持ちよさは、おそらくシンナー以上なんじゃないかと思う。シンナー遊びしたことないからよく分からないけど。
記:2007/05/15