タウン・ホール NYC June 22 1945/ディジー・ガレスピー、チャーリー・パーカー
2021/01/23
貴重な興奮音源
ニューヨークはタウンホールにて行われた、パーカーとガレスピーの火が出るような演奏記録。
なんとまぁ、こりゃまたスゴい音源が残っていたものだ。
もとはといえば、この音源の一部は、イタリアのPhilologyレーベルから発売されていたのだが、このCDは当日の演奏曲がコンプリートな形で並べられ、リマスタリングが施されたもの。
タイトルの演奏日、1945年6月22日といえば、これ太平洋戦争中、それも終戦の2ヶ月弱前の出来事。
シンフォニー・シッドが「ビー・バップ!」とアナウンスしたり、ディジー・ガレスピーがソロをとっている途中に、遅れて登場したパーカーに観衆がどよめいたりと、当時の空気が手にとるように伝わってくる生々しい記録なのだ。
いやはや、このような演奏が、戦艦大和轟沈の2ヶ月半後、神戸大空襲の17日後に行われていたことを考えると、当時のビ・バップっていう名の新しい音楽は、とんでもなく高度で、滅茶苦茶進んだ、ほとんど前衛に近い音楽だったのだなということが分かる。
やはり、ビ・バップを代表する2大巨頭、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーは、とんでもなく頭の中も、放つ音も、存在そのものもブッとんだジャズマンだったのだ。
もっとも、冒頭の2曲のみ参加している「3人目のホーン奏者」、テナーサックスのドン・バイアスや、ラスト2曲のみ参加している「2人目のドラマー」、シドニー・カトレットも良いプレイをしてはいるのだが、いまひとつ霞んでしまっていがちなのは、それだけ、ガレスピー&パーカー、ローチという新しいミュージシャンたちが放つ革新性とインパクトの証。
時が過ぎても、音源の中に眠る演奏の熱量はいつの時代も変わらないのだとつくづく感じてしまう1枚だ。
記:2006/06/10
album data
TOWN HALL NYC June 22 1945 (Uptown Jazz)
- Dizzy Gillispie,Charlie Parker
1.Intro
2.Bebop
3.A Night In Tunisia
4.Groovin' High
5.Salt Peanuts
6.Hot House
7.Fifty Second Street Theme
Dizzy Gillespie (tp)
Charlie Parker (as)
Don Byas (ts)
Al Haig (p)
Curly Russell (b)
Max Roach (ds)
Sidney Catlett (ds)
1945/06/22