ヴァーセス/ウォレス・ルーニー

   

マイルスとの違い

マイルスに似ている、マイルスの影響を受けまくっていると、必ずトランペットの演奏を評されるときには「マイルス」という偉大すぎる先人の枕詞がくっついて語られる、ある意味不幸な存在のトランペッター、ウォレス・ルーニー。

はい、たしかに似ています(笑)。

このトニー・ウィリアムスがプロデュースのアルバム『ヴァーセス』のプレイも似ている要素、多いですね~。

しかし、フレーズに関しての両者の「美学」、「目指すべき到達点」のようなものは、かなり違うのではないかとも感じます。

短めのフレーズの中、できる限りのニュアンスを込めるのがマイルスだとすると、ここでのウォレスは、ニュアンスよりもフレーズの息の長さ、それも、起伏に富んだ音列を破綻なく吹こうという意気込みが感じられます。

音色、雰囲気はマイルス的ではありながらも、アプローチのほうは、むしろブラウン・ローチ双頭クインテット期のクリフォード・ブラウン的なところを目指しているのかもしれません。

ペットの音色の美しさも見逃せないウォレス・ルーニーを代表する一枚です。

記:2015/07/20

album data

VERSES (Muse Records)
- Wallace Roney

1.Float
2.Verses
3.Blue In Green
4.Topaz
5.Lawra
6.Slaves

Wallace Roney (tp)
Gary Thomas (ts)
Mulgrew Miller (p)
Charnett Moffett (b)
Tony Williams (ds)

1987/02/19

 - ジャズ