ヴォイジャー/テュナ・オテネル

      2019/07/26

ヴォイジャー
Voyageur

おそるべき「平凡さ」

トルコ出身のピアニスト、テュナ・オテネル。

ジャンルは違うが、トルコ出身のピアニストといえばクラシックのファジル・サイを思い出す。

彼のはじけるような奔放なプレイをイメージして再生スイッチを押すと、流れてきたのは、何の変哲もないピアノトリオ。
一言で言えば、平凡。

しかし、そこがとても心地よい。

端正なタッチ、ときおりみせる甘く分かりやすいフレーズ。

名手、ピエール・ミシェロが低音をガッチリと支えており演奏の安定度は抜群だ。

おそるべき平凡さとでも言うべきか。
観賞していて「はっ!」とインパクトを受ける瞬間というのはほとんどない。地味だ。

しかし、終始貫かれる端正さが醸しだす心地よさは、なかなかのもの。

5歳でピアノをはじめ、17歳でオーケストラに加入したというから、彼の根っこはクラシック。しかし、バップ期のピアノもよく研究しているようで、ところどころに、懐かしいアプローチが飛び出すのは彼なりの学習成果か。

11曲中5曲は、リオ・デ・ジャネイロ出身のトロンボーン奏者、ラウル・ジ・スーザが参加している。

トロンボーンは、スライド式ではなくバルブ式のようだ。

前半はピアノトリオ、後半がトロンボーン・カルテットという編成。

ピアノトリオも良いが、トロンボーン入りの演奏も悪くない。

記:2001/08/13

album data

VOYAGEUR (Jazzenvil)
- Tuna Ötenel

1.Voyageur
2.Deep
3.Bizarre
4.Laura
5.Circus
6.For Children
7.Patience
8.Chan's Blues
9.Like Someone In Love
10.Souzabone
11.Estrada Branca

Tuna Ötenel (p)
Raul De Souza(tb)
Pierre Michelot (b)
Philippe Combelle (ds)

 - ジャズ