ウェイリング・ウィズ・ルー/ルー・ドナルドソン

      2021/11/28


Wailing With Lou

軽やか、しかし味わい深い

サラッと聴ける親しみやすい好盤の多いルー・ドナルドソンだが、この盤は、じっくり聴ける。

当時としては初々しい新人だったドナルド・バードの参加にくわえ、ハーマン・フォスターのピアノが、実にツボにはまった好演。

地味ながらも、よくまとまったアルバムが『ウェイリング・ウィズ・ルー』だ。

さらりと破たんのない語り口でサクサクと演奏が進む《キャラバン》に、ドナルドバードが明るく爽やかにAメロを奏で、サビ以降はドナルドソン、気がつけばハーマン・フォスターへと、さりげなくバトンが渡されてゆく《オールド・フォークス》。

ルードナの明快なアドリブの一部をそのまま曲にしてちまったような彼のオリジナル《ザット・グッド・オールド・フィーリング》も明るさの中にもホロリとした切なさが滲み出る。

アルバム中もっとも快活なテンポで演奏されるのが《ムーヴ・イット》。

バードの溌剌としたトランペットは彼が本質的に持つ軽やかさが発揮された楽しい演奏だ。

スローテンポで演奏される《ゼア・イズ・ノー・グレーター・ラヴ》。ルードナもバードも情感をこめ過ぎないところが好感。

むしろあっさりとしたぐらいの演奏だからこそグッと引き込まれることもあるのだ。

ファンキーなフィーリングが満ちたオリジナル《L.D.ブルース》でこのアルバムは幕と閉じる。

軽やかな語り口とそつない演奏の中にも、含蓄のある内容がたくさんはいっている。

このアルバムを契機に長きにわたり相棒をつとめるピアニスト、ハーマン・フォスターとの記念すべき初レコーディング盤でもある。

記:2009/02/18

album data

WAILING WITH LOU (Blue Note)
- Lou Donaldson

1.Caravan
2.Old Folks
3.That Good Old Feeling
4.Move It
5.There Is No Greater Love
6.L.D. Blues

Lou Donaldson (as)
Donald Byrd (tp)
Herman Foster (p)
'Peck" Morrison (b)
Art Taylor (ds)

1955/01/27

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