ウォルター・デイヴィス・ライブ・オ・ドレーアー/ウォルター・デイヴィスJr.

      2021/02/10

walter davis

バッパー、ウォルター・デイヴィス

ウォルター・デイヴィスが、48歳の時のパリのクラブでのライブ。

リズム隊は、ヨーロッパに移住していた頃のバド・パウエルのピアノを堅実に支えた、ケニー・クラークとピエール・ミシェロというベテランコンビだ。

ウォルター・デイヴィスというと、私はどうしてもブルーノートのリーダー作『デイヴィス・カップ』を思い出してしまうが、このアルバムで認められるファンキーさは、感じられない。

もっとも、ビ・バップのナンバー中心に演奏しているから、これらの曲をファンキータッチで演奏するほうが難しいといえば難しいのだが。

オススメは、《シリア》、それに《ジョンズ・アビー》か。

両方ともパウエルの曲だ。

だからというわけではないが、タッチが非常にパウエル的。かつ、乾いたドライヴ感も、かなりパウエルを彷彿とさせる。

耳を澄ますと、うなり声も聞こえるし。

セロニアス・モンクのナンバー《モンクス・ムード》も演奏しているが、アプローチはモンク的というよりも、たとえば『ポートレイト・オブ・セロニアス』などに認められるパウエル的なアプローチを彷彿とさせる。

ウォルター・ビショップって、想像以上にパウエルの影響を受けていることを確認できる1枚だ。

ジャズ・ピアノのファンに、ジャケットを見せずにこのアルバムを聴かせたら、「これって後期のパウエルでしょ?」と言われそうだ。

録音のバランスは、悪い。

ケニー・クラークのドラムスにバランスが偏っている。

ミシュロのベースが奥に引っ込んでしまっているのが残念だが、そのかわりサウンド全体から伝わってくる熱気は、まさにライブならではの臨場感。

このアルバム、現在は澤野工房から再発されたものが廉価で手にはいるが、これが出る前のオリジナルのレコードは高値取引されていたらしい。

もちろん悪くない内容ではあるが、高値で取引されるほど、絶品な演奏なのかというと、ちょっと……。

レコード時代のトミー・フラナガンの『オーヴァー・シーズ』のように、希少性と、優れた内容が高値を呼び話題になっていた盤もあるが、このウォルター・デイヴィス盤の値段の高さは、1にも2にも希少性だったのだろう。

澤野から出ている2,500円が“適正価格”だと思う。

記:2004/07/04

album data

WALTER DAVIS LIVE AU DREHER (澤野工房)
- Walter Davis

1.Confirmation
2.All God's Children Got Rhythm
3.Celia
4.X.W D
5.Little Benny
6.Round Midnight
7.John's Abbey
8.52nd Street Theme
9.Monk's Mood

Walter Davis (p)
Piere Michelot (b)
Kenny Clarke (ds)

1981/03/27 & 28

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