冒険者たち~Wild Herats/佐野元春
2018/01/14
佐野元春のアルバム『カフェボヘミア』に収録されている《Wild Herts~冒険者たち》は、高校時代の一時期、夢中になって何度も聞いていた時期がある。
メロディも歌詞も流れる風景のように心地よいのだ。
この曲が発表された当時は、先述したとおり私は高校生だったので、そして、「早く大人になりたい症候群」で、しょっちゅう渋谷や新宿のバーのカウンターでバーボンとタバコをくゆらせていた「背伸び野郎」だったので、この曲全体がたたえている「センチメンタルなんだけれども少し乾いた大人の世界」のトーンに憧れていたものだった。
そして、この《冒険者たち》は、ベースラインが面白い曲でもある。
サビの箇所は普通の8分音符のルート弾きだが、イントロとAメロのベースラインがユニークな譜割りとなっていて、この曲の軽快に流れてゆくような心地良いムードを設定しているのと同時に、上にかぶさるブラス群、あるいはヴォーカルの屋台骨としてしっかりと機能している。
力強いシンプルな8ビートを打ち出すドラムのパターンを縫うように太い曲線を描いて進んでゆく低音。
とりたてて難しい譜割りでも運指でもないのだが、このライン独特のノリをフィーリングとして身に付けておかないと、曲を殺してしまいかねない。
このAメロのベースラインの箇所はフィーリングが掴めるまで、何度も音源に合わせて練習した。
そして、このノリのパターンさえ身に付けてしまえば、あとは楽勝。気持ちよくサウンドに浸りながら、低音を絶やすことなく奏でれば良い。
残念なことに、この曲はCDに合わせて弾いたのみで、バンドやセッションで合わせたことは一度もない。
一度でいいから、シンプルで力強い8ビートを叩きだすドラマーとこの曲を合わせてみたいなと思う。
その時の私は、ジャズベースでもいいけれども、プレシジョンのほうでトライをしてみたいな。
プレシジョンのトーンを絞った野太い音で、特にAメロのラインは地を這うようなベースラインを弾いてみたい。
ちなみに、以前、この曲がカラオケにあったので試しに歌ってみたのだけれども、バックのサウンドがチープで原曲の雰囲気とはまったく違っていたね。
ま、それはこの曲に限らずなんだけど。
やっぱり、「あのドラム」、「あのベース」じゃないとムードが出ませんな~。
記:2000/10/27(from「ベース馬鹿見参!」)