ヤング・ビッグ・ビル・ブルーンジー 1928-1935
2017/05/20
Young Big Bill Broonzy 1928-1935
やはり最初に聴いた時のインパクトが強かったからなのだろうか。私にとってのブルースマンといえば、まずはこの人。
ビッグ・ビル・ブルーンジー。
私にブルースの門戸を開いてくれた人。そして、おそらく今でももっとも好きなブルースマンがビッグ・ビル・ブルーンジーだった。
そして、もっとも愛着のあるCDがコレ。彼のキャリアにおいては比較的初期の演奏が収められているが、とにかく、楽しめる。惹き付けられる。
とても大切なCDです。
学生の頃、なぜかディスクユニオンの柏店で偶然見つけたCDのジャケットに吸い寄せられて購入したのが私とブルーンジーとの出会い。
アタックが強いくせに流麗なギターと、懐の深い“大人の声”で一気に虜となった。
最初は、この人のブルースばかり聴いていたものだから、周囲のブルース好きとはまったく話が噛みあわなかったもんね(笑)。
ある人は、クラプトンこそブルース! な感じだったし(んなわけあるまい)、コテコテのブルースマニアは、やっぱりハウリン・ウルフやマディ・ウォーターズだった。
今でこそハウリンやマディの眩暈がするほど、濃ゆーい世界にアタマをクラクラさせている私だが、ブルーンジーに慣れた耳からすると、ハードロックに聴こえた(笑)。
ま、それだけ、時代背景やアプローチに違いってのもあるんだろうけれども、ブルーンジーのブルースは、単なるノホホンな感じのノスタルジックな要素の強い音楽にあらず。
彼のブルースは一言、力強い。
この力強さは時代を選ばない。
21世紀になった今聴いても、なおも新鮮な感動と驚きを伝えてくれる。
つまり、スタイル云々ではないんだね、きっと。
スタイルはあくまで自分を出すための手段。
大事なのは、そのスタイルにどう乗っかるか。どう自分を表現し、聴き手を震えさせるか。
間違いなく、ブルーンジーのギターと歌声は、ブルース云々以前に、ブルーンジーという人間そのものを出し、時代を超えて、我々の感性を心地よく揺らしてくれるのだ。
力強さに加えて、彼の表現はどこまでもスマートで都会的なところも見逃せない。
力マカセな泥臭さとは縁遠いところも、私の好みにピッタリと合致しているのだ。
私はアメリカ人でもないし、1930年に生きていたわけでもないが、なぜか、不思議な懐かしさを感じてしまう。
歌い方に、ぶっきらぼうさとデリケートさが混在する《Eagle Ridin' Papa》、楽しげなパーティを想起させる《Saturday Night Rub》、思わず隣にいる人と肩を組んで合唱しちゃいそうな《Eagle Ridin' Papa》。
素敵な曲が満載です。
しかし、なんといっても、《ミシシッピ・リヴァー・ブルース》が大好き。
アルバムの中の曲の中では地味な部類に属する、なんの変哲もない曲なのだろうが、なぜか、この「普通さ、なんでもなさ」に惹かれている私。
学生の頃に行ったミシシッピ川を思い出します。
彼のブルースを最初に聴いてみたいという人は、初期の彼のギターと歌が収録された『ヤング・ビッグ・ビル・ブルーンジー 1928-1935』というCDをお薦めしたいですね。
味わい深い歌声と、舌を巻くギターのテクニック。
彼という人間がたっぷりと収められているのだ。
●収録曲
1.Long Tall Mama
2.Mississippi River Blues
3.Saturday Night Rub
4.How You Want It Done?
5.Stove Pipe Stomp
6.Hokum Stomp
7.I Can't Be Satisfied
8.Brownskin Shuffle
9.Eagle Ridin' Papa
10.Starvation Blues
11.Hip Shakin' Strut
12.Good Liquor Gonna Carry Me Down
13.Skoodle Do Do
14.Banker's Blues
記:2008/07/01