カフェモンマルトル

text:高野雲

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鯛メモ

      2016/04/10

tai

私は魚料理が好きだが、中でも鯛が大好きで、よく行くイタ飯屋や日本料理の店で鯛が出されるたびに、満面の笑みでその身にかぶりついている。

しかし、かぶりつくだけでは勿体無い。

だから、鯛について聞きかじったこと、読んでなるほどと思ったことを忘れないようにまとめてみようと思う。

鯛は魚の王様といわれている。万葉の昔から、貴族だけが食べることのできる特別な食べ物だった。

「浜の塩焼き(姿焼き)」が生まれたのは、江戸時代。明石鯛の姿かたちと味を損なわないまま、将軍家に献上するために生まれた調理法。

明石鯛は、必ず雄と雌が1対で仲良く暮らし、たとえ片方が先に死んでも残った方は、生涯他の相手を求めることはないといわれている。

だから、関西では明石鯛を古来から、格調高い“縁起物”とみなし、正月や結婚などめでたい日に「鯛の姿焼き」を出す風習がある。

魚の王様と言われている鯛だが、その中でも頂点に立つとされているのが真鯛。

真鯛は北海道以南から日本の近海、東シナ海で見られ、日本の主な漁場で水揚げされる。中でも味の頂点を誇るのが明石の鯛。旨さのピークは、秋。

秋の明石鯛は、艶やかな朱色となり、地元の漁師からは季節柄とひっかけて“紅葉鯛”と呼ばれている。

明石の鯛が美味なのは、明石海峡は潮流が激しく、その流れの中で運動するため、身がひきしまっていることが理由の一つ。

もう一つの理由は、この海域にはエビやカにが多く、とくに小さなジャコエビを充分に食べているから。

明石鯛の赤さは、エビの赤さと関係あるのかもしれない。

一方、房総半島の鯛は、エビが少ないために必死で探し回るためか、ギラギラとした大きな目になっている。

鯛の大きさと味は関係ない。大きくても大味だということはない。

天然の鯛のほうが養殖の鯛よりも味が良いのは、餌の違い。

養殖の鯛の餌は鰯(いわし)なので脂が乗り過ぎてしまい、白身魚のサッパリとした味が生きない。

天然と養殖の見分け方は、体の色と尾ひれをみること。

体の色は、養殖の鯛のほうが天然の鯛よりもやや黒っぽく濁った色をしている。

また、尾ひれの形は天然の鯛は滑らかだが、養殖は「く」の字形のように真ん中が鋭く折れている。

鯛を買うときには、尾を持ってブラブラさせると魚屋に叱られる。

身が柔らかくなってしまい、身割れが起こり、商品価値が下がってしまうからだ。

もっとも鯛に限らず、それはすべての魚に当て嵌まることで、魚を持つときは、頭の目のところを持つのが正しい持ち方なのだそうだ。

鯛は一日置いておくと目が濁ってくる。新鮮な鯛を選ぶポイントは、出来るだけ澄んだ目をしていて、白目のところにも透明感があるものを探すこと。

ニュージーランド近海で獲れた鯛も、日本近海の鯛と比べても遜色がない。味もよく、値段も半分。

外見上の違いは、目が大きく細身なこと。

黒鯛は太ったもののほうが美味。

黒鯛は、生まれたときは全部オス。

途中でメスにかわるものもある。

黒鯛の幼魚の名前は“チンチン”。なるほど。

石鯛、石垣鯛、金目鯛、甘鯛、赤魚鯛(あこうだい)は、タイ科ではない。

※参考文献&教えてくれた人
下田徹『板前修業』(集英社新書)
よく行くイタリアン・レストラン、そして日本料理店のシェフ、および親方。

どうもありがとうございます。
m(__)m

記:2003/03/23
 

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