フードゥー・レディ/メンフィス・ミニー

      2017/12/07

ぶっきらぼうな味わい

力強く、ちょっと素っ気ない感じの歌い方も、慣れると中々病みつきになる。

戦前ブルースを代表する人物の一人、メンフィス・ミニーの紡ぎ出すブルースは、カントリーブルースの中でも洗練されていて、聴きどころが多い。

私は彼女に夢中になっていた時期があって『I Ain't No Bad Gal』や『Hoodoo Lady』を繰り返し繰り返し聴き、それにも飽き足らずにブルースバンドを結成し、彼女の歌ばかりをコピーしていた時期もあった。

Hoodoo Lady

彼女のぶっきらぼうな感じすらするブルースから、たくさんのブルースのエッセンスをインストールさせてもらったと思っている。

ちなみに彼女は、生涯に三人のブルースマンと結婚している。
やっぱり酒場の歌うたいはモテるんでしょうかね。

あまり語られることの無い人だが、ベッシー・スミスとともに、もっともっと彼女の素晴らしさは語られるべきだと勝手に思っております。

日本人は、このようにパワフルで屈託なくて、ちょっと(かなりかな?)ぶっきらぼうな感じがする歌って、「情感の置き所」が見つけにくくて受け入れにくいのかもしれないね。

かくいう私も、彼女の歌声になれるまでは多少の時間を要したが、これって度数の強い酒みたいなもので、一度慣れてしまうと、また飲みたくなる。カーッとなる強い刺激が欲しくなる。

それと一緒で、メンフィス・ミニーの力強い歌声は、ときどき禁断症状のように「聞きてぇ~!」と思わせるなにかがありますね。

長いキャリアの間に、生涯たくさんの吹き込みを残しましたが、絶頂期と呼ばれる時代の録音を集めたのが本盤。キツめの酒のおつまみにどうぞ。

記:2000/05/27

album data

HOODOO LADY 1933-37 (Sony)
- Memphis Minnie

1. 裏通りで
2. 誰かあの人見かけなかった
3. 太陽が沈むのは見たくない
4. アイス・マン
5. フードゥー・レディ
6. わたしは不運な女
7. また見つかっちゃった
8. 黒猫ブルース
9. おはよう
10. あんた、お金くれないのね
11. どんどん食べて
12. ひどい仕打ちを受けてきた
13. おいしいビスケット
14. わたしのこと告げ口したって無駄
15. マイ・ブッチャー・マン
16. わたしの不思議な男
17. もしうちのおんどりを見かけたら
18. あの人がわたしに用がないなんて
19. 彼を引き止めないで
20. 行ってしまうのよ、分かってる

 - ブルース