ジュビリー・シャウト/スタンリー・タレンタイン

   

ハッピーフィーリングのブルーノート最終作

ピアノのソニー・クラークが亡くなる3ヶ月前のレコーディング作品だ。
と同時にクラークのラストレコーディングでもある。

とはいえ、そんなこと当時の当の本人は知るよしもなく、演奏内容はゴキゲンです。
いや、わざわざ文字で語らないでも、このジャケ写のタレンタインの笑顔が内容を十分に物語っているか。

そのうえ、タイトルのタイポグラフィに注目すると、ビックリマークが「!!!」と3つも並んでいる。

この盛り上がり感というか、ハッピー感は並大抵ではない。

最初の曲に目玉曲かつ従来とはちょっと違うアプローチの曲を配するあたりは、典型的なブルーノート的構成のアルバムでもあるんだけれども、このタイトル曲《ジュビリー・シャウト》の場合は、いけいけ元気なハッピーオーラをタンバリンを追加することでさらに増強しているような感じが。

お陰でタンバリンにばかり耳がいってしまうではないか。

タレンタインは、少々アクのある独特の節まわしを有する、唯一無二のテナー奏者ではあるけれども、このアルバムでは、そのアクは少々影を潜め、そのかわり、参加した演奏者全体のアンサンブルで独特の磁場、空気感を形成しようとしているようにも感じる。

艶やかな都会的うるおいを付加するケニー・バレルのギターがやっぱりイイなと思ってしまう。
バレルとタレンタインの相性の良さは、『ミッドナイト・ブルー』で証明されているけれど、やっぱりこのタイプの違う2人のコンビが発するサウンドは独特なブルースフィーリングをかもし出すよね。

個人的ベストは、《コットン・ウーク》かな。
兄、トミー・タレンタインのトランペットが素晴らしい味付けをしている。

この2人の兄弟は、キャノンボール・アダレイとナット・アダレイのコンビ同様、2人揃うことで両者の個性がひとつに溶け合い、独特な風合いを出している。

動画でも紹介しています。

記:2019/11/23

album data

JUBILEE SHOUT (Blue Note)
- Stanley Turrentine

1.Jubilee Shout
2.My Ship
3.You Said It
4.Brother Tom
5.Cotton Walk
6.Little Girl Blue

Stanley Turrentine (tenor saxophone)
Tommy Turrentine (trumpet)
Kenny Burrell (guitar)
Sonny Clark (piano)
Butch Warren (bass)
Al Harewood (drums)

1962/10/18

 - ジャズ