カフェモンマルトル

text:高野雲

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姑獲鳥の夏/試写レポート

      2015/05/25

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ちょうど今年は京極夏彦デビュー10周年。

彼のデビュー作「姑獲鳥の夏」の映画化は、なんとも良いタイミングですね。

私も発売された当時は「姑獲鳥」、夢中で読みましたですよ。

ノベルススタイルで2回、文庫になってからも1回と、結構読み返しております。

面白いから、というとちょっと違うんだけども、ストーリー的な面白さよりも、キャラクター的な面白さのほうが強いかな。

このシリーズは、登場人物の一人ひとりがキャラ立ちしてますからね。

あとは、ページの紙の量と活字のインクにおぼれる心地よさ。

この作品以降は、さらに爆発的にページの量が増えてゆく京極堂シリーズだが、「姑獲鳥」が出たときも、けっこう分厚い本だなぁ、読みでがあるなぁと楽しみながら読んだ記憶がありますね。

で、そんな私にとって、「姑獲鳥の夏」の映画化は、楽しみでもあり、不安でもありました。

だって、あの作品の世界観と、複雑に入り組んだストーリーを2時間前後の尺で、どう表現するのだろう?って。

誰だってそう思いますよね?

過去にもこの作品にトライして、自爆した方々もいらっしゃるそうです。

で、不安は的中いたしまして、私的にはいまいちでした。

いや、世界観やストーリーは非常にうまく汲み取られていると思います。

おそらく、多くの「姑獲鳥」愛読者にとっては、まぁ納得いくレベルなんじゃないの?な内容だとは思います。

でも、でもですね、先述したとおり、この作品は、いや、このシリーズは、ストーリーや物語の仕組み以前に、キャラクター造形の面白さがあるんですよね。

コミカルさをまったく欠いた榎木津礼二郎のどこが「エノさん」でしょうや。

いかにも、無理やりしかめっ面を崩さないように努力してます!な表情の宮迫博之のどこが、キバシューなんでしょう?

永瀬正敏演じる関口巽は、まぁイメージ通りですが、べつ永瀬正敏じゃなくても良いような。

いや、永瀬正敏でも良いんだけどね。

神経症で対人恐怖症なところがうまく出ていなくて、ボーっとした無口な人にしか見えなかったのは私だけ?

そして、京極堂を演じる堤真一。

ビジュアル的には許容レベルですが、いかんせん、台詞回し(抑揚のつけ方)が、聞いているうちに、だんだんワンパターンに感じられてきて、眠くなってしまうのです。

あの例の語尾のアクセントをちょっと捻ったような、彼独特の節回しってあるじゃないですか?

あれが連発されると、頭が痛くなってくるのであります。

もっとも、京極堂はただでさえも文字量の多い台詞をしゃべる人だから、堤真一以外の役者が演じても、ああいう感じにならざるを得ないのだろうけれども、堤真一の「あの節回し・あの調子」は好みの分かれるところでしょう。

と、私的には、キャラが自分のイメージと違うねん!という子供っぽい理由で、いまひとつに感じただけなので、京極夏彦ファンの方は、こんなレビューを鵜呑みにすることなく、まずは見てみてください。

力作なことには違いありません。

中野の眩暈坂って、ははぁ、こういう風景だったんだぁ、といったように、小説の描写だけでは分からないところがビジュアル化されているのは嬉しいです。

さらに、小説中には、ほとんど登場しない関口の妻が篠原涼子なこともポイント高いです(笑)。

あと、みうらじゅんの自画像(かえる)が、たくさん登場しますよ。

本当は、かえるじゃないんだけどね…。

でも、なんか似ているもんなんですねぇ…。

あとはネタばれになるので、これ以上書きません。

ファンの方は、ご自身で鑑賞されて判断してみてください。

ファンじゃない方も、是非。

というよりも、私は、小説を読んでいない人の感想を聞いてみたいと思う。

どうしても、読んだうえに思い入れのある人にとっては、客観的に観れない上に、あそこが違う、ここがこうじゃないと、重箱のスミを突っつくような観賞になってしまいがちなんだよね。

賛否両論分かれる作品になるだろうことはたしかですが、あなたは、さて、どちらでしょう?

movie data

『姑獲鳥の夏』
原作:京極夏彦
監督:実相寺昭雄
製作:荒井善清、森隆一
企画:遠谷信幸
プロデューサー:小椋悟、神田祐司
脚本:猪爪慎一
出演:堤真一、永瀬正敏、阿部寛、宮迫博之、原田知世、田中麗奈 ほか
2005年作品
観た日:2005/05/09 

記:2005/05/10

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