カフェモンマルトル

text:高野雲

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ギル・エヴァンスの個性と発展/ギル・エヴァンス

      2016/10/24

ギル・エヴァンスの個性と発展+5ギル・エヴァンスの個性と発展

多すぎる「聴きどころ」

個人的には、ギル・エヴァンスのアルバムの中では、もっとも愛聴しているアルバムだ。

それゆえに、紹介したい聴き所がたくさんあり過ぎて、どれをどの順番からどう紹介しようと悩ましいのだが、とにもかくにも、まずは1曲目からいきましょうか。



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エルヴィン・ジョーンズの躍動的なドラム

このアルバムのムードを決定づける1曲目の《タイム・オブ・ザ・バラクーダ》。

このナンバーに限らずだが、このアルバムの大きな特徴は、エルヴィン・ジョーンズの躍動的なドラミングが楽しめるということだろう。

エネルギッシュなシンバルワーク、そして速射砲のようなスネアが「♪トコトコトコトコ」といたるところに入るのだが、それが、もう快感、快感、めちゃくちゃ気持ちが良い。

特に、エルヴィンのドラムソロのコーナーが設けられている《タイム・オブ・ザ・バラクーダ》にはそれが顕著だ。

コルトレーン・カルテットのリズムセクションが好きな人にとっては、このエルヴィンのドラミングだけでも聴けてしまうのだ。

コルトレーンといえば、この曲でソロを取るウェイン・ショーターのテナーサックスは、まるでコルトレーンのような。ソロの出だしから、フレーズの組み立て方まで、かなりコルトレーンを意識しているのではないかと思わせるところがある。
ここの箇所は、まるでコルトレーン・カルテットを聴いているかのような錯覚に陥ること必至。

しかし、もちろんこれは、このアルバムの聴き所のほんの一端。

人数多めのフレンチ・ホルンを配した、暖かくて厚みのあるホーンアレンジも非常に心地が良い。

また、艶のあるケニー・バレルのギターもムード満点。

とにかく情報量が多いアルバムではあるのだが、情報過多でアタマが混乱するような内容ではなく、そのあたりの緩急は、さすがギルのことだけのことはあり、非常に巧みだ。

不協和音を混ぜながら訥々と弾かれるギルのピアノも、非常に効果的。

オーケストレーションの要所要所に効果的に弾かれる音数の少ないピアノは、カウント・ベイシー的ではあるが、音色やハーモニーの新しさからは、まるで未来のビッグバンドのジャズを聴いているかのよう(演奏から半世紀が過ぎた21世紀の今になってもなお)。

『ギル・エヴァンスの個性と発展』は、一生かけて、じっくりと味わいたいアルバムなのだ。

album data

THE INDEVISUALISM OF GIL EVANS (Verve)
- Gil Evans

1.Time of the Barracudas
2.The Barbara Song
3.Las Vegas Tango
4.Flute Song/Hotel Me
5.El Toreador
6.Proclamation
7.Nothing Like You
8.Concorde
9.Spoonful

Gil Evans (p,arr)
Johnny Coles (tp)
Thad Jones (tp)
Ernie Royal (tp)
Bernie Glow (tp)
Louis Mucci (tp)
Jimmy Knepper (tb)
Frank Rehak (tb)
Jimmy Cleveland (tb)
Tony Studd (tb)
Bill Barber (tuba)
Wayne Shorter (ts)
Phil Woods (as)
Eric Dolphy (fl, bcl, as)
Steve Lacy (ss)
Jerome Richardson (reeds, woodwinds)
Bob Tricarico (reeds, woodwinds)
Al Block (woodwinds,flute solo)
Garvin Bushell (reeds, woodwinds)
Andy Fitzgerald (reeds, woodwinds)
George Marge (reeds, woodwinds)
Julius Watkins (frh)
Gil Cohen (frh)
Don Corado (frh)
Bob Northern (frh)
Jimmy Buffington (frh)
Ray Alonge (frh)
Harry Lookofsky (tenor violin)
Bob Maxwell (harp)
Margaret Ross (harp)
Kenny Burrell (g)
Barry Galbraith (g)
Gary Peacock (b)
Ron Carter (b)
Paul Chambers (b)
Richard Davis (b)
Ben Tucker (b)
Milt Hinton (b)
Elvin Jones (ds)
Osie Johnson (ds)

1963/09月
1964/04/06,05/25,07/09,10/29

記:2015/03/05

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