アル・アンド・ズート/アル・コーン&ズート・シムズ
双子っぷりに拍車がかかる理由
アル・コーンとズート・シムズ。
似たような音色、プレイスタイルのテナー奏者なので、このコンビによるアルバムを聴いていると、どっちがどっちだか分からなくなりませんか?
まるでテナー双子が吹いているようにすら感じる。
まさに、私がそうでした。
今でも時々そうかもしれません。
一時期、『アル・アンド・ズート』をかけっぱなしにして、「こっちがズートで、そのあとがアル・コーンだよな……」というような聴き方をしていたことがあるんですが、こういう聴き方ってあんまり面白くないことに気が付き、しばらくアルバムからは遠ざかっていました。
遠ざかっている間にも、色々なジャズを聴いて聴覚が広がっていくわけですよ。
色々なジャズの中にも、ズート・シムズやアル・コーンのリーダー作が含まれている場合もある。
で、何年か経って、しばらくぶりに『アル・アンド・ズート』に戻ってみると、なんとなく、わかってきた。
二人の区別が分かるというよりも、二人とも、互いの吹奏スタイルの良いところ、クセのような部分を巧みにコピーしながら、吹いている節があるということに。
アルはズート的で、ズートはアル的に。
しかし、あくまで一歩引いた柔らかさを大事にするズートと、ひらめいたフレーズをすぐに音にしようという勢いのあるコーンでは、音色、スタイルは似通っていても、やはり音楽的な美学の違いがじわりと滲み出ており、最初はわかりにくいのですが、この「微妙な違い」に気付くようになれば、なんて粋で知的な男同士の語らいなんだろうと感じるようになれるのです。
記:2015/07/01
album data
AL AND ZOOT (Coral)
- Al Cohn & Zoot Sims
1.It's A Wonderful World
2.Brandy And Beer
3.Two Funky People
4.Chasing The Blues
5.Halley's Comet
6.You're A Lucky Guy
7.The Wailing Boat
8.Just You, Just Me
Al Cohn (ts)
Zoot Sims (ts)
Mose Allison (p)
Teddy Kotick (b)
Nick Stabulas (ds)
1957/03/27