ソウルは自然志向の音楽です。奄美で売れたソウルミュージック

   

text:高良俊礼(Sounds Pal)

オーガニック 自然志向

「オーガニック」という言葉が最近頻繁に使われるようになっているように、今は“自然志向”が流行だ。

これは何も食品や衣類、インテリアなどの世界に限ったことではない。

むしろ音楽に対する”自然志向”の流れは、最近になって余計に加速している感がある。

巷ではチャートを賑わせているヒット曲が、息をつく暇もないぐらいひっきりなしで流れてはいるが、こういったメジャーな流れとはまったく別に「良い音、良い歌」を探す人達が、増えている。

ソウル・ミュージック 70年代

奄美の人達は、特に「歌」というものに非常に敏感な感性を持っている。

アーティストの名前や、作品がどういったジャンルの音楽に属するものであるか、一切関係なしに、先入観を持たずにすんなりと未知の歌の世界に入ることができる人が多い。

そんな人達の間で定期的に話題となるのが、1960年代から70年代のソウル・ミュージックだ。

生楽器による心地良い自然なグルーヴ感と、語り言葉のように表情豊かな、「人の声」が織りなす暖かみのあるサウンドは、今聴いても決して古臭く感じさせないどころか、人工的なエフェクト(装飾)がない分、シンガーやミュージシャン達の“生”の息づかいや、楽曲のそのままの”良さ”がよりストレートに伝わってくる。

ソウルは非常に明快で分かり易い音楽として、またはギンギンではなく、無理のないオシャレな雰囲気が、生活の中で自然と味わえるファッショナブルなアイテムとして、注目を集めているのだ。

メインストリーム

70年代ソウルのコンピレーション・アルバムは大体好評だったが、この『メインストリーム・ソウル・サーヴェイ~ファンク/ヴォーカル・グループ編』は、特によく売れた。

「メインストリーム」というレーベルは、知名度ではモータウンやアトランティックといったメジャー・レーベルに劣るものの、その内容の充実度については、メジャー・レーベル作品も顔負けの高いクオリティを有していた。

このコンピレーションに収められているシンガー達の、魂を揺さぶる熱唱や、この時代のブラック・ミュージックならではの、艶やかな洗練が感じられるメロウなバラード・ナンバーの数々は、流れるような爽やかな心地よさと、心にズシンと響く味わいの深さを同時に感じさせてくれる。

そして今の時代にこんな素晴らしい歌の数々に出会えることに、静かに感謝したくなる。

記:2014/08/31

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●高良俊礼(奄美のCD屋サウンズパル

※『南海日日新聞』2007年9月16日「見て、聴いて、音楽」掲載記事を加筆修正

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