モンクの《ジャスト・ア・ジゴロ》が好きだ

      2019/08/19

counter

皆大好き、《ジャスト・ア・ジゴロ》

やわらかなピアノの音色で奏でられる2分と数秒。
《ジャスト・ア・ジゴロ》と《アイブ・ゲッティング・センチメンタル・オーバー・ユー》だ。

パリの公演の合間にはさまれる、このふと優しげな2分少々の時間が私は好きだ。

The Paris Concert
The Paris Concert

モンクは《ジャスト・ア・ジゴロ》という曲が好きだったようで、いや、自分流のアレンジで演奏するのが好きだったというべきかな?

彼のアルバムにはよく登場する曲のひとつ。

ライブ盤が多い。

長い演奏の間の休憩的にはさむ曲という位置づけだったのだろう。

アレンジや解釈もほぼ固定していて、同じアプローチで弾かれている。

しかし、当然ながら、日によってコンディションや演奏の速度や、それに伴って生まれ出てくる表情は違う。

しかし、だいたい演奏時間は2分から3分の間だ。

このわずか2~3分の何気ない演奏から滲み出てくるモンクの優しさ、懐の深さが好きだ。

通常よりも速い速度で演奏される『ライヴ・イン・ストックホルム1961』のバージョンが好きだ。

また、ふくよかで深い音で録音された『モンクス・ドリーム』のバージョンも好きだ。

Monk's Dream
Monk's Dream

ちょっと挑発的で「コッキーン!」度の高い『モンク・イン・トーキョー』は、おいおい、もうちょっと冷静になってくれよ、と思う瞬間が多い。

平岡正明の新刊の最後の章、「寺島靖国をぶっ壊す」を読むと、彼は、『ミステリオーソ』に収録されているバージョンが好きなようだ。

毒血と薔薇―コルトレーンに捧ぐ
毒血と薔薇―コルトレーンに捧ぐ

ミステリオーソ+2
ミステリオーソ

数あるバージョンの中では、もっともトゲのないフラットな《ジャスト・ア・ジゴロ》かもしれない。

もちろん、私もこのバージョンは好きだし、今まで、このアルバムの《ジャスト・ア・ジゴロ》に触れた人や批評は皆無だったので、嬉しい気分になった。

記:2009/03/14

 - ジャズ