楽器の絵本 ピアノ/クリストフ・ハイムブーヒャー、ハイケ・プランゲ
2018/01/11
カワイ出版から出ている『楽器の絵本 ピアノ』読了。
これは、大人が読んでも楽しい、ピアノに関しての知識があらゆる角度で記された絵本だ。
どんな内容なのか?
私があれこれ書くよりも、
表四(背表紙)に記されたテキストを抜粋したほうが早い。
この本を読めば、ピアノにかんすることの多くが分かります。えんそうやテクニック、練習するときの注意やひくときの気持ち、ピアノの歴史やピアノの仲間について、くわしく正確に、たくさんのイラストを使ってせつめいしてあります。分かりやすい文章とカラフルなイラストは、ピアノをひける人にもひけない人にも、とてもためになることでしょう。
・ピアノのいろいろな部分の名前
・昔のピアノたち
・音のしくみ
・ピアノをひくには
・作曲家とピアニストたちなどなど
というわけなのです(笑)。
面白いのが、ピアノとのつきあい方のページで、ピアノにやってはいけないことが、イラストで書かれているのだが、
・ピアノをサッカーのゴールにするのはやめましょう
・ピアノをジャングルジムのかわりにしてはいけません
なんてことも、きちんとイラストで描かれているんだよね(笑)。
ほか、ピアノの仲間の楽器が、イラスト入りで豊富に紹介されているんだけど、その中のひとつ、キーボードのイラストは、どう見てもキーボード奏者はジョー・ザヴィヌル(笑)。
しかも、解説もおかしく、
キーボードをひくには、コンピュータのちしきも少し必要です。というのも、ちょっとばかりプログラムしなくてはいけないからです。
だもんね(笑)。
「少し」とか「ちょっとばかりプログラム」という表現が、分かったような分かんないようで、可笑しい(笑)。
ほか、ピアノの構造、ピアノ工場、ピアノができる前までの古い鍵盤楽器(オルガン、クラヴィコード、スピネット、チェンバロ、ヴァージナル、ハンマークラヴィーア)の紹介(知らない楽器もいくつかあった……)、ピアノを発明したパルトロメオ・クリストフォリの経歴と、ハンマーのメカニズム、音の仕組み(短調のモデル、長調のモデル、5度圏、音程、和音など)、弾き方(手のカタチや、ペダルの解説)、ピアニストとして大切な心構え(人前であがることの克服法まで書いてある)、ドメニコ・スカルラッティからドビュッシーまでのクラシックの作曲家などなど、ほんと、子供の絵本だからといって侮るべからずな充実の内容。
ピアニストの紹介もイラストで紹介されており、古い人から準に並べると、
ヨハン・ネポムク・フンメル、
アントン・ルービンシテイン、
ハンス・フォン・ビューロー、
セルゲイ・ラフマニノフ、
アルトゥール・ルービンシュタイン、
スヴャトスラフ・リヒテル、
そして、最後に
オスカー・ピーターソン(笑)。
そうなのよ、クラシックのピアニストは6人に対して、ジャズはたったの一人。
ま、ピアノの長い歴史の中の比率からいうと、そんなものなのかもしれないけどね。
で、オスカー・ピーターソンは、どう解説されているのかというと……
カナダ人のピーターソンは、ジャズの歴史の中で、最もすばらしいピアニストの1人としてみなされています。ものすごいテクニックを持ち、ソロやトリオや、大きなジャズ・バンドで活やくしました。
大きなジャズバンドって、ビッグバンドのこと?(笑)
もちろん、この解説に異論はまったくないけど、せめて、アート・テイタムとか、デューク・エリントンはダメだったのでしょうか……?
エリントンは、作曲家として、テイタムは入手できる音源の少なさと、ピーターソンに比べた場合の大衆的ポピュラリティの差で除外されちゃったのかな?
この本が出た頃は、まだピーターソン在命中だったこともあり、リアルタイムで楽しめ、有名、かつ素晴らしいジャズピアニストという条件で選出されたのでしょうね、ピーターソンは。
なかなか、読み応え、見ごたえ、突っ込みどころ、笑いのツボのある本なので、子供と一緒に読んでみよう。
いや、子供のいない方でも、ピアノという楽器に関する基礎知識が30分程度で身につく、楽しい絵本です。
オススメ。
記:2009/03/24