ニューヨークの秋/ジョー・スタッフォード
2017/05/19
《ニューヨークの秋》のおすすめヴォーカルは?
《ニューヨークの秋》は、個人的にも大好きなスタンダードで、デクスター・ゴードン、バド・パウエル、MJQによる演奏など、心に染みる名演も多い。
これらはすべて、インスト。
では、ヴォーカルでは誰の歌がいいのかというと、そうだなぁ、たとえば、ジョー・スタッフォードがいい。
いや、「いい」どころではなく、ジョー・スタッフォードの《ニューヨークの秋》を強くおすすめしたい。
都会的としか言いようがない
とてもありきたりな表現なんだけれども、一言でいえば、都会的。
それも、現代的な都会ではなく、古きよきNYの映像が浮かんでくるようなイメージ。
温もりも情緒もあるのだけれども、あくまで、ファーストインプレッションで感じる表面的なイメージは、あくまで、クール、そしてちょっとよそよそしい感じ?
でも、心の底からよそよそしいというわけでは決してない。
これってまさにニューヨークという街がもつ肌ざわりと一致しているではないか。
都会人特有のニュアンス
彼女の歌声は、なかなかうまく説明できない。
「まったりとはしているけれども、まったりとしすぎてもいない」と書くと、なんだか『美味しんぼ』のようなグルメ漫画みたいだし(笑)。
クールと書いたが、クール過ぎるわけでもなく、心地よい温度もある。
都会暮らしの人特有の、すべてのことに熱くなりすぎず、醒めているところは醒めていて、距離をおくべきことには距離を置くという、スマートな身のこなしをまさに彼女は身につけているとでもいうべきか。
そういう、リスナーとの心地よい距離の取り方がうまいのだと思う。
だから彼女独特な、諦観までは感じないが、どことなく醒めたニュアンスが魅力なのだと思う。
まさに都会的。
煙が目にしみる
シンガーが歌にどう思いを込めるのかは、《煙が目にしみる》をどう歌うかによって推し量ることも出来る。
実際、この歌も代表曲とされる《ニューヨークの秋》に負けず劣らず、都会な女の魅力。
アルバム2曲目に収録されていますね。
それほど頻繁に聴く歌手ではないが、たまに思い出したときに、ふと聴いてしまうと、なんだか昼間からバーで飲みたい気分に突入してしまうという、ある意味、危険なアルバムなのです。
記:1999/10/27
album data
AUTUMN IN NEW YORK (Capitol)
- Joe Stafford
1.Autumn in New York
2.Smoke Gets in Your Eyes
3.Haunted Heart
4.If I Loved You
5.In the Still of the Night
6.Some Enchanted Evening
7.Just One of Those Things
8.Almost Like Being in Love
9.Make Believe
10.Through the Years
11.The Best Things in Life Are Free
12.Sometimes I'm Happy
Joe Stafford (vo) ほか
1955年録音