スピリット・センシティヴ/チコ・フリーマン

   

Spirit Sensitive (Ogv) [12 inch Analog]
Spirit Sensitive

ゴールデン・ウィーク中に心は秋

世間は、ゴールデンウィークで、気候も穏やかな暖かさ。

そろそろ夏、いやその前には梅雨の気配が、あと少しで感じはじめるであろう今日この頃ですが、私の心はなぜか秋。

「哀愁の秋なんだぜ!」なのです。

なぜかというと、昨日から、チコ・フリーマンばっかり聴いているから。

《ニューヨークの秋》オンリー

フリーマンの何のアルバムを聴いてるって?

『スピリット・センシティヴ』です。

しかも、1曲目の《ニューヨークの秋》ばかりリピートしている。

他の曲はどうでもよろしい(笑)。

いや、シンミリ系の演奏が多いので、もちろん、他の曲も悪くないんだけれども、しかし、《ニューヨークの秋》に比べれば、どうでもよろしい(笑)。

少なくとも、今の私の気分では。

テナーとベースのデュオ演奏

チコ・フリーマンとセシル・マクビーとのデュオ。

テナーとベースの大人の会話。

これは、そう、アレンジというか編成の勝利ですね。

ピアノもドラムもいらないもん。

黄昏れたチコ・フリーマンを鼓舞するかのような、セシル・マクビーのベースが頼もしい。

ベースの音が硬い、硬い。
ぎゅっと引き締まっていて、思わずこちらの気持ちも引き締まる思い。

もとより、セシル・マクビーのベースの音色は硬質でリズムの骨格も強靭なのだが、共演相手がサックスしかいない、このデュオを聴くと、よりいっそうマクビーのベースのハードボイルドさがよく分かる。

タフで、情緒のあるベースだ。
このベースを聴くためだけのアルバム、といっても過言ではない。

もっとも、ホレス・シルヴァーの《ピース》も良いし、ジョン・ヒックスのピアノも、この時期のフリーマンやマクビーが湛えるムード、時代の雰囲気とはピタリと合っている。

ちょっと尖ったニューヨークの先鋭ジャズマンが持つ雰囲気と、彼が本質的に持つ優しさが絶妙な案配で表出されているのだ。

記:2009/05/05

album data

SPIRIT SENSITIVE (India Navigation)
- Chico Freeman

1.Autumn in New York
2.Peace
3.A Child Is Born
4.It Never Entered My Mind
5.Close to You Alone
6.Don't Get Around Much Anymore

Chico Freeman (ts,ss)
Cecil McBee (b)
John Hicks (p)
Billy Hart (ds)
Famoudou Don Moye (ds)

Oct 1978-Jan 1979

YouTube

ユーチューブにも、このアルバムについて語った動画をアップしました。

 - ジャズ