ロング・アゴー・アンド・ファー・アウェイ/チャーリー・ヘイデン&ブラッド・メルドー
2021/02/02
初デュオ
ブラッド・メルドーとチャーリー・ヘイデンのデュオ作品だ。
録音年は2007年、場所はドイツ。
マンハイムのキリスト教会でのライヴ録音だ。
2人の共演はこれが初めてではなく、リー・コニッツ(as)の『アローン・トゥゲザー』や、『ライヴ・アット・バードランド』でも共演している。
しかし、ヘイデンとメルドーのデュオは初めての試み。
斬れ味鋭いメルドーのピアノだが、ここでは、ヘイデンのベースに包まれるかのようなプレイが大半を占め、アート・オブ・トリオのような「ピロピロギュラリーン!」な超絶プレイはしていない。
もちろん、奔放なピアノをものすごいテクニックで奏でるメルドーのこと、一瞬「あっちの世界」に飛んでいきそうな瞬間もあるにはあるが、ヘイデンが形成するベースの重力圏内に踏みとどまり、良い意味で抑制を効かせたピアノを奏でている。
どちらかというと、自らがイニシアチブを握るというよりも、ヘイデンの幅とゆとりあるナビゲーションに乗り、むしろスペースを楽しむかのようなピアノを弾いているのが印象的だ。
ヘイデンの音数少なく温かみのあるベースワークは相変わらず。
なにしろ、ヘイデンはデュオというフォーマットはヘイデンがもっとも得意とするであろうフォーマット。
キース・ジャレット、オーネット・コールマンから、アリス・コルトレーンやクリスチャン・エスクーデまで、様々なスタイルの楽器奏者とのデュオを重ねてきている歴戦のツワモノでもあり、ありとあらゆる個性に合わせるだけの柔軟さを持っていると同時に、共演者を自分のペースに知らず知らずハメ込んでしまう磁力をも持っているベーシストだ。
メルドーのピアノにはハッとする瞬間も少なくないのだが、やはりこのデュオから漂うムードは、ヘイデンの音楽そのもともいえる。
このデュオは、ジャズフェスティヴァル中、教会の中に設置されたステージでの演奏なのだが、場所が教会ということもあるのだろうか、いつもよりも少々厳かな雰囲気をたたえたベースが印象的だ。
こういうヘイデンのふくよかな低音を聴くと、ウッドベースの弦をガット弦に張り替えたくなってしまうんだけど、ガット弦って高い上に、良い音を鳴らすのって、ものすごく難しいんだよね……。
記:2018/11/26
album data
LONG AGO AND FAR AWAY (Impulse/Universal)
- Charlie Haden & Brad Mehldau
1.Au Privave
2.My Old Flame
3.What'll I Do
4.Long Ago And Far Away
5.My Love And I
6.Everything Happens To Me
Charlie Haden (b)
Brad Mehldau (p)
2007年11月5日