ハンク・モブレイ・カルテット/ハンク・モブレイ

   

『カフェボヘミア』好きにもたまらん!

リーダーがハンク・モブレイ。

サイドメンは、アート・ブレイキーにホレス・シルヴァー。

そして、ベースがダグ・ワトキンス。

この組み合わせ、ケニー・ドーハムが加われば『カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ』なんですよね。


At the Cafe Bohemia Volume 1


At the Cafe Bohemia 2

だから悪かろうはずがない。

このアルバムが録音されたのは、1955年の3月27日。

そして、『カフェボヘミア』でのライヴ演奏は、同年の11月23日。

およそ8ヶ月前の吹き込み。

この8ヶ月の間に、モブレイに何があったのか?!

というのも、『カフェボヘミア』以降のモブレイのテナーの「語り口」は、微妙にオットリというか、モッサリというか、まろやかになっているのだ。

しかし、この『ハンク・モブレイ・カルテット』でのモブレイの語り口は、モワッとしていない。
モサッとしていない。

直球、ストレート。
シャープでスピード感のあるモブレイ。

もちろん、『カフェボヘミア』のモブレイの演奏にもシャープな局面もあるが、全体的なニュアンスは、まろやかでコクがあって、柔らかい。

しかし、フレージングはモブレイそのもので、それほど大きく変化しているわけでもない。

この8ヶ月間の間にいったい、モブレイにどのような変化があったのか?!

マウスピースやリードを替えた?

あるいは、奏法をもう少しレイドバック気味で貫こうと決心した?!

あるいは、シャープに聴こえる録音のせい?

それとも、『ハンク・モブレイ・カルテット』を吹き込んだ時期のモブレイが生涯最高の絶頂期で、その後は、ゆるやかな下り坂カーブを描いていた?

真相はわからないけれども、とにかく、そのような妄想を駆り立ててしまうほど、『ハンク・モブレイ・カルテット』のモブレイは凄い!

モブレイのワンホーン・アルバムといえば、『ソウル・ステーション』が定番だけれども、こちらも負けず劣らず良い。
いや、勝ってる?!

とにもかくにも聴きましょう、『ハンク・モブレイ・カルテット』。

スピード感抜群の《ラヴ・フォー・セール》に悶絶!

『カフェボヘミア』でも演奏された、こちらではシャープに研ぎ澄まされた《アヴィラ・アンド・テキーラ》に興奮!

ブレイキーのエネルギッシュなバチさばき、そしてシルヴァーの行け行け直球前進ピアノのサポートを得たモブレイは、もうとびっきりの絶品バップを奏でまくっているのだ。

記:2019/03/26

album data

HANK MOBLEY QUARTET (Blue Note)
- Hank Mobley

1.Hank's Prank
2.My Sin
3.Avila and Tequila
4.Walkin' the Fence
5.Love for Sale
6.Just Coolin'

Hank Mobley (ts)
Horace Silver (p)
Doug Watkins (b)
Art Blakey (ds)

1955/03/27

YouTube

同内容のことを動画でも語っています。

※録音の設定がうまくいかず、声が割れていますがご了承ください。

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>>アット・ザ・カフェ・ボヘミア vol.1/アート・ブレイキー&ザ・ジャズメッセンジャーズ
>>アット・ザ・カフェ・ボヘミア vol.2/アート・ブレイキー&ザ・ジャズメッセンジャーズ

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