ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー/ソニー・ロリンズ

   

ラフだがエキサイティング

ブルーノートやプレスティッジ時代のロリンズの演奏に比べると、たしかにかなり大雑把な演奏かもしれない。

かなり荒々しくラフ。
ドラムも2台だしね。

往年の、豪放でいながら繊細さをも持ち合わせていたロリンズのテイストを期待して聴いてしまうと肩透かしを食らうことだろう。

しかし、この繊細さや絶妙な構成力を犠牲にしてでも、とにかく野太く「吹く!」という行為一点に、サックス奏者としてのエネルギーを収斂させてブロウするロリンズの音には、すがすがしい感動を覚える。

加えて、こんなにタフで勢いのあるトミー・フラナガンのピアノも聴いたことがないほどで、普段の「紳士」な仮面をかなぐり捨てている感がある。
まるで、「吹く!」ロリンズの気迫が乗り移ったかのようだ。

演奏されたのは、1965年の6月。
ニューヨーク近代美術館、屋外での演奏で、その日は雨だったようだ。

しかし、そんなこと恐るるに足らず。
ひたすら、ロリンズはエネルギッシュに「吹く!」ことに徹している。

演奏が突き進めば突き進むほど、燃え上がるロリンズやサイドマンたち。
いいねぇ。

映像が残っていれば、ぜひ映像でも拝みたいものだ。
おそらく、同じ野外演奏で大興奮な演奏『Gメン』の映像で見れる豪放っぷりなのだろう。

まずは1曲目のエキサイティングな(特にトミー・フラナガンのピアノが)《オン・グリーン・ドルフィン・ストリート》で興奮してください。

記:2019/08/25

album data

THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU (Impulse)
- Sonny Rollins

1.On Green Dolphin Street
2.Three Little Words
3.Mademoiselle De Paris
4.To a Wild Rose
5.There Will Never Be Another You

Sonny Rollins (tenor saxophone)
Tommy Flanagan (piano)
Bob Cranshaw (bass)
Mickey Roker (drums)
Billy Higgins (drums)

1965/06/17
at Museum of Modern Art, New York City

関連記事

>>Gメン/ソニー・ロリンズ

YouTube

このアルバムを紹介した動画もアップしています。

 - ジャズ