愛妻家の食卓/椎名林檎
椎名林檎の3曲入りシングルの『真夜中は純潔』。
もちろん、東京スカパラダイスオーケストラをバックに従えたタイトル曲の《真夜中は純潔》も悪くないし、ビッグバンド風にリアレンジされた《シドと白昼夢》も悪くないが、個人的にはラストの《愛妻家の食卓》にゾッコン。
アコーディオン(風?)の音色がこの曲の鍵。
イントロ、バッキング、ソロ、エンディングにと、この音色が大活躍。
どこか切ない情感を湛えつつも、艶やかに。絢爛に。
次第に染みて、泣けてくる、という寸法。
もちろん、曲の良さ手伝っていることは言うまでもないが、いや、ほんと、いいメロディです、この曲。
キャッチーだし、サビのメロディは泣かせるし。
歌詞は、なんだかちょっと怖いけど、いや、かなり怖いけど(深読みのしすぎ?だって、ナイフで刺すんだよね?)、怖いぶん真に迫るというか、伝わってくるものも大きい。
歌詞の口調が淡々と、しかも丁寧で落ち着いているだけに、逆に真に迫っているというか、リアルというか、日常の中に一瞬ギラリと見え隠れする殺気を感じますね。
で、「あの瞬間」、一瞬音楽がストップしますから。
やっぱり、あそこは「あれしちゃった」瞬間ですよね?
朝っぱらからピアノでポロネーズ弾いてるんでしょ?
やっぱり、静かに「狂って」ます。
だから、《メロウ》と同じ感じで良いのです。
記:2001/03/28
加筆修正:2009/04/22