アローン(アゲイン)/ビル・エヴァンス
再びソロ
ソロでレコーディングした作品の『アローン』から7年。
再び孤独な作業に没入したエヴァンスのソロピアノ集が『アローン(アゲイン)』だ。
ただし、『アローン』で感じられた「アローン感」は陰を潜め、むしろ曲(素材)と真摯に向き合った成果ともいうべきか、ジャケットのヒゲ&メガネのエヴァンスの姿もダブり、学者エヴァンスがピアノで研究・探求を重ねたレポートという趣きだ。
ただ研究と書いてしまうと、カタックルシイイメージがついて回るかもしれないが、エヴァンスの研究目線は、「どう弾けば、曲が生きるか」につきるわけで、むしろ、躍動感に満ち満ちた演奏が多く、そこのところも、『アローン』とは一線を画するところ。
どこまでも「陽」なイメージの漂うこのアルバムは、『アローン』のイメージを払拭する「アゲイン」なレコーディングなのだ。
とはいえ、表面的な音の佇まい(響き)などとは裏腹に、より一層エヴァンスのピアノは深みに達している。
真剣に聴けば鳥肌が立つかもしれない。
記:2007/08/10
album data
ALONE(AGAIN) (Fantasy)
- Bill Evans
1.The Touch of Your Lips
2.In Your Own Sweet Way
3.Make Someone Happy
4.What Kind of Fool Am I?
5.People (Jule Styne, Bob Merrill) – 13:37
Bill Evans (p)
1975/12/16-18