レッド・ホット・チリ・ペッパーズ・プレイズ・モンク
2016/03/07
レッド・ホット・チリ・ペッパーズがモンクのカバーをしているという。
収録アルバムは『アウト・イン・L.A.』。
だいぶ前になるが、私のページにいらした方が、掲示板で教えてくれた。
“レッチリ”とモンク。
意外な組み合わせだ。
ちょっと興味が沸いてきたので、早速アルバムを購入してみた。
曲名は《F.U.》。
恐らく“Fuck U(you)”の略なのかなと思ったら、案の定そうだった。
カバーしている曲は《ベムシャ・スイング》。
『セロニアス・モンク・トリオ』や、『ブリリアント・コーナーズ』等に収録されているミディアムスローの曲だ。
一聴した感想。
カバーというよりも、たまたまモンクの曲が囃し(はやし)のモチーフとして使われているだけ。
われわれが小学生の時に、
♪わーるいな、わーるいな、せーんせいに、いってやろ
関西だと、
♪いーやや、こーやや
と悪いことをしたヤツを囃し立てたように、レッチリは、「ファック・ユー、おまえの家族全部、おまえのガキども糞くらえ」という歌詞を載せるのに適当なメロディ素材として、モンクの《ベムシャ・スイング》を選んだだけのような気がしてならない。
悪口や、人をはやしたてるメロディというのは、
♪ばーかー、かーばー、ちんどんやー、おまえの母さんデーべーソー
ではないが、単純明快な旋律の方が意味が伝わりやすい。
とぼけた旋律の方が、よりいっそう送り手の「馬鹿にし度」と、受け手の「屈辱度」が増す。
《ベムシャ・スイング》のメロディも考えてみれば単純素朴と言えなくもない。少なくとも口ずさみやすいメロディなことは確かだ。
構造は複雑だが、外面は素朴なモンクのメロディが、このようなところで使われていたとは、何とも面白い気がする。
『アウト・イン・L.A.』というアルバム全体は、パキッと引き締まった小気味良い演奏が続くのだが、その中で異物感の強い《ベムシャ・スイング》だけがひときわ強い異彩を放っていた。
記:1999/08/25