ブラック・コーヒー/ペギー・リー
うっひゃぁ、気だるいぜぇ!
オットナだぁ!
……なんてことを言っているようじゃ、まだまだ私の感性は子供なんだろうねぇ。
《ブラック・コーヒー》という歌。
気だるいし。
アンニュイだし。
セクシーなウィスパリング・ヴォイスでため息をつくようなペギー・リーの歌唱は、もう完全に100パーセント、大人のまったりとした時間。
真夜中に飲むコーヒー。
酒じゃなくて、コーヒーってところが、なんだか意味ありげ過ぎない?
色々想像しちゃうじゃないか。(何を?)
歌伴を努めるジミー・ロウルズのピアノトリオも、大人の粋さを決して忘れません。
もちろん、タイトル曲以外にも聴きどころ満載。とくに、《イージー・リヴィング》が好きだった私が、ペギー・リが歌う《イージー・リヴィング》を聴いてからというものの、この曲のイメージがガラリと変わってしまった。
人生、タイトル通りに、そう簡単に「イージーじゃない」ということが、ものすごくよく分かった(笑)。
彼女のこの歌声が、さらりとほのめかしてくれる。
そして、いつしか「はぁ、人生って深いなぁ、なんちゃって」と独り言を呟いている自分がいる。危ない人じゃありません(笑)。
アルバム全体を覆うビターなテイスト。
まさに「ブラック・コーヒー」とは言いえて妙だ。
子ども、オコチャマは聴かんでいいです。
酸いも甘いも噛み分けたオトナが、苦い思いをかみ締め、そして愉しむためのアルバムなのだ。
いやぁ、本当にビターだなぁ。
このアルバムをマッタリ味わった後に、いきなりJ-POPを聞いてみ?
まるで遊園地だから(笑)。
記:2006/06/07
album data
BLACK COFFEE (Decca)
- Peggy Lee
1.Black Coffee
2.I've Got You Under My Skin
3.Easy Living
4.My Heart Belongs To Daddy
5.It Ain't Necessarily So
6.Gee,Baby Ain't Good To You
7.A Woman Alone With The Blues
8.I Didn't Know What Time It Was
9.When The World Was Young
10.Love Me Or Leave Me
11.You're My Thrill
12.There's A Small Hotel
Peggy Lee (vo)
Pete Candori (tp)
Jimmy Rowles (p)
Max Wayne (b)
Ed Shaughnessy (ds)
1953/04/30 #2,8,10
1953/05/01 #3,4,7
1953/05/04 #1,9
1956/04/03 #5,6,11,12