ブラックマーケットのARP2600の音色は、アナログシンセの似合うザヴィヌルを象徴する音の1つ
ザヴィヌルを追悼するイベント
昨日は、四谷の「いーぐる」で「追悼・ザヴィヌル特集」が催された。
お店の常連客が1枚ずつ、自分の思い入れのあるザヴィヌルのアルバムをかけ、一言コメントをする形式のイベントだったのだが、音源の傾向や内容が偏ることなく、結果的に、かける人の個性が浮き彫りにされると同時に、バラエティとバランスのとれた選曲になっており、とても充実したイベントだったと思う。
『ウェザー・リポートの真実』の著者、山下邦彦氏の語りも非常に興味深かったと同時に、面白かったし。
さて、私がかけた曲は《ブラック・マーケット》。
参加者のなかでは、なんのヒネりもない、もっともベタでストレートなセレクションだったんだけれども、きっと他の皆さんは、珍しいアルバムや、ブートレッグなどが多数かけられるのだろうという予測のもと、きっと、このような超有名な音源がかかれば、かえって目立つのではないかという目論見はもちろんあったが、単純に気持ちよく好きだから、という理由もある。
もっとも、私が最近一番聴いているザヴィヌルは、ザヴィヌル・シンジケートの『ワールド・ツアー』で、《スリー・ポストカーズ》がものすごく気持ちよく、泣けて、ノリノリなので、このCDも持参し、「いーぐる」のドアの前まで、こちらをかけようかなと悩んだものだが、いや、俺はベタベタ路線で行こう!と決め、《ブラック・マーケット》にした。
幸い、吉井さんが、まさに私がかけようかどうしようかと最後まで悩んでいたこの曲をかけられたので、重ならなくて良かった、良かった。
音源をかける前に話した内容
で、私は、《ブラック・マーケット》をかける前に何を話したのかというと、ちゃんと話した内容はICレコーダーで録音済みなので、それをテープ起こし(ICレコーダー)した内容を、ここに貼り付けちゃえば、《ブラック・マーケット》の紹介になり、かつ、今日の「ブログを書くというノルマ(?)」は、これでクリアできちゃうので、嬉しいなったら嬉しいななのである(なんのこっちゃ)
もっとも、テープ起こしをして、文法的におかしいところや、意味不明だったことは書き足したりしてます。
ま、菊地成孔氏も自分が喋った内容を猛烈に書き足したりしているそうですが、そこまで手は加えてません(笑)。必要最低限の加筆修正ですよん。
以下、追悼ザヴィヌル特集で喋った内容です。
「こんにちは高野 雲です。
ここに集まった皆さん、それぞれ様々なザヴィヌル像をお持ちだと思うのですが、私にとってのザヴィヌル像というのは、一言で言ってしまえば、「もっともアナログシンセの似合う男!」、です。
私は、世代的にYMOやクラフトワークなどの「電子音楽」で音楽の洗礼を受けた人間なので、どうしてもシンセの音色には敏感なところもあります。
なので、ザヴィヌル、ウェザーを聴くときも、やっぱり単純に「音色」の興味から入門しました。
先ほど、「アナログシンセの似合う男」と申しましたが、だからといってもちろんザヴィヌルアナログシンセ一辺倒だったというわけではありません。積極的にデジタルシンセの最新機材を導入していました。
『ウェザー・リポートの真実』という本の巻頭カラーを見ると、コルグのM1とかトライトーンの写真なんかが載っており、正直、とっても欲しいんですが(笑)←関係ない いちはやく最新の機材を導入していたミュージシャンです。
ただ、デジタルを使おうが、彼の出す音のニュアンス、ザヴィヌルの好みといってもいいんでしょうけど、ザヴィヌルの音色は、非常にアナログ的です。
先ほど、スペイシーな音色という話も出ましたが、そのスペイシーな音というのも、アナログシンセが最も得意とする音色のひとつですね。
それとは別に、ザヴィヌルが好き、というかよく使う音色に、暖かく柔らかい音色があります。
たとえば、これからかける《ブラックマーケット》の主旋律や、広がりのある和音の音色が、ザヴィヌ的!とでもいえる典型的な音色でして、この暖かく柔らかい音色はまさにザヴィヌル!としか言いようがありません。
アナログだろうがデジタルだろうが、ハードに左右されずに一貫して自分の出したい音を出し続けていたんですね。
そして、その音色はザヴィヌルが作り出す牧歌的な旋律と、暖かい音色がとても気持ちよくマッチしています。
ザヴィヌル的旋律に、ザヴィヌル的音色がキレイに溶け合っているのが、まさに、ブラックマーケット!
まさにアナログシンセが得意とする音色が効果的にちりばめられています。
そして、最もアナログシンセの似合う男!に相応しい曲なんじゃないかと思っています。
というわけで、もっとも(私の中では)アナログシンセの似合う男ザヴィヌルのブラックマーケットをかけたいと思います。
お聴くきください!
~《ブラック・マーケット》の音源が流れ始める
記:2007/10/07