トルコ風ブルーロンドがイイ! テイク・ファイヴよりも。
やっぱり1曲目でしょ!
以前、「音聴き会」で“ジャズ名盤特集”なるものをやったことがあるのだが、そのときに、予想外にウケが良かったのが、『タイム・アウト』の《ブルー・ロンド・ア・ラ・ターク》だった。
トルコ風ブルーロンドね。
このアルバムは《テイク・ファイブ》が入っていることで有名なのだけれども、じつは、《テイク・ファイブ》自体は、それほど面白い演奏ではない。
ライブでは結構激しいピアノソロを弾いていてエキサイティングな演奏を残しているブルーベックだが、このアルバムの演奏は、ひたすら和音でリフを刻むのみ。
一切ソロはとらず、単なるリズムキーパーに徹している。
もちろんテーマのメロディは魅惑的だし、ポール・デスモンドの歌うアドリブは心地良い。それに、ジョー・モレロのドラムソロも、“聴ける”内容ではある。
でも、それだけなんだよね。
つまり、最初は面白いけれども、すぐに飽きる。
ハプニングやスリリングさがほとんどなく、決まりきった枠の中をルーティンワークで演奏しているような趣しか感じられない。
それに比べれば、《ブルー・ロンド・ア・ラ・ターク》は抜群に面白い。
つんのめるような 8分の9拍子。
緊張感で硬くなりつつある身体と頭をほぐす、途中で登場する4拍子のブルース。
このギャップの心地よさといったら。
まるでロックに目覚めたバルトークがプログレをジャズ風に演奏しているような(?)、デイブ・ブルーベックの変態ピアノの真骨頂。文句なしにカッコいい。
9拍子は、3拍子の集積ではなく、2、2、2、3とリズム分解が出来る。
ブルーベックのリフにあわせて数えてみれば、「ははぁ、なるほど」と、よりいっそう曲が身近になるかもしれない。
だからといって、2,2,2,3と数えながら首をふったり、足をゆらしても、すぐに疲れてしまうだろうから止めたほうが良い(笑)。
左右に大きく、ゆ~ら、ゆ~らと揺れてリズムを感じると心地よく感じられると思う。
ブルーベックのゴツゴツしたピアノに対して、まろやかでクリーミーなデスモンドのアルトの音色。
見事な対比だ。
ボケとツッコミ、
スイカに塩、
ウナギに山椒、
正反対なキャラが互いを引き立て合うのは、どの世界も同じなのかも。
ブルーベックとデスモンドのコンビも、まさに、デコボココンビと呼ぶに相応しい。
たしか、本家デコボココンビといえば、アボットとコステロだったっけ?
記:2007/02/23