クラリネット・コニッツ~リー・コニッツが最初に手にした楽器はクラリネットだった
グッドマンからアーティ・ショウに傾倒
リー・コニッツはユダヤ系の家庭に生まれ育った。
コニッツのKonitzという特殊なスペルも、ユダヤ系ならではのものだ。
もっとも、この最後が「tz」となるスペルは、コニッツの家庭が最後になるだろうねと幼少時に親から言われていたようだ。
ユダヤ音楽のクレズマー(クレッツマー)を聴けばお分かりのとおり、クラリネットはなくてなはならない主要楽器のひとつ。
そのこともあってか、両親が彼が11歳の時に彼に買い与えた楽器はクラリネットだった。
もっとも、当時のコニッツ少年が夢中になっていたクラリネット奏者はベニー・グッドマンで、ユダヤ音楽にはまったく興味がなかったようだが。
最初のアイドルは、グッドマンであったものの、次第にアーティ・ショウに傾倒するようになる。
特に進化してゆくアーティ・ショウ楽団の音楽に魅せられていたようだ。
それと反比例するかのように、グッドマンの音楽には興味を失くしてゆく。
コニッツは言う。
「グッドマンが優れたクラリネット奏者だったが、ショウは優れた音楽家だった。」
コニッツがクラリネットからテナーサックスに転向した理由は仕事のため。
バンドで働くためにはサックスが吹けないといけなかったからだ。
後にテナーからアルトに移ったのは、ナイトクラブで演奏する仕事のオファーがあり、そこの楽団にはアルト奏者が必要だったからだそうだ。
これを機会にコニッツはアルトでやっていこうと決意をした。
クラリネットの方がサックスよりもアンブシュアは難しいと言われている。
アンブシュアとは、楽器を吹くときの口の形と口の周りの筋肉の使い方だ。
コニッツのアンブシュアは、クラリネットで形成された。
頬の筋肉が硬くしまっていたそうだ。
この締まった筋肉のまま当初はサックスを吹いていたコニッツ。
初期のコニッツの冷ややかで硬く引き締まった音色は、クラリネット奏者時代に培われていたアンブシュアによるものなのだろう。
コニッツの冷たく鋭いアルトサックスは、『サブコンシャス・リー』、そして『コニッツ・ミーツ・マリガン』が最高だ。
記:2012/08/18