コラボレーション/MJQ、ローリンド・アルメイダ
純喫茶がよく似合う音楽
うん、純喫茶。
ジャズ喫茶で聴くよりも、純喫茶のほうがよく似合う音楽だね!と言い切ってしまおう。
暑い夏、地方都市の商店街。「暑っちぃな~!」なんて、照りつける太陽を避けるかのように首にタオルを巻きながら駆け込んだ街の商店街の純喫茶に入った瞬間、冷え冷えとしたクーラーが効く~、出されたアイスコーヒーが染みるぅ~、そしてかかっている音楽が、MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)とローリンド・アルメイダの『コラボレーション』だったら、もうこれ以上、この状況に相応しいものはないのではないだろうか。
そんなどうでも良い個人的妄想が働いてしまうほど、アイスコーヒーと、ジャズ喫茶とは異なり、比較的明るめな純喫茶の照明が似合いそうなアルバムなのです。
B面が良い
ブラジル出身のアコースティック・ギターの名手ローリンド・アルメイダと、モダン・ジャズ・カルテットの共演。
一見、相容れない組み合わせのようにも感じるが、じつは両者、1963年のモンタレー・ジャズ・フェスティバルに出演の折に知り合い、意気投合。その後は翌年のMJQのヨーロッパツアーにアルメイダはゲストとして同行している。
このアルバムが録音されたのは1964年だから、昨年のツアーの成果をアルバムとして残しておこうという趣旨だったのかもしれない。
レコードでいえば、A面とB面、CDで言えば前半、後半のコンセプトがくっきりと分かれていて、前半はもろMJQの、いや、ジョン・ルイスのクラシック趣味にアルメイダが合わせているといった趣き。
もう普通にMJQチックな聴き慣れたサウンドに、たまたまギターがゲストで参加していますというような演奏ですな。
しかし、B面になると、今度はムードがガラリとかわり、今度はアルメイダが主役の世界となる。
ボサにスパニッシュフレバー。
こちらのほうが個人的には好きですね。
特に、《ワン・ノート・サンバ》が良い。
ミルト・ジャクソンのヴィブラフォンがが入ってきた瞬間の気持ちよさったらない。カチッとしたMJQ的、いや、ジョン・ルイス的世界観が、美しく綻ぶ瞬間だ。
ラストの《アランフェス組曲》、これは誰がどう演奏しても名演にならざるをえない宿命を持っているかのような名曲ではあるが、ちょっと元気がないね。
気負い過ぎたのだろうか。少し固い。
やはりB面前半の気持ちの良い「和みっくテイスト」が、このアルバムの肝だろう。
記:2019/08/07
album data
COLLABORATION (Atlantic)
Modern Jazz Quartet with Laurindo Almeida
1.Silver
2.Trieste
3.Valeria
4.Fugue in A Minor
5.One Note Samba
6.Foi A Saudade
7.Concierto de Aranjuez
Laurindo Almeida (guitar)
Milt Jackson (vibraphone)
John Lewis (piano)
Percy Heath (bass)
Connie Kay (drums)
1964/07/21
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