デューク・ピアソンと刑事コロンボ

   

デューク・ピアソンの本名は?

ずばり!

コロンバス・カルヴィン・ピアソン。

ん? コロンブス?

コロンブス⇒Columbus

うん、スペル的には、イタリアの探検家、クリストファー・コロンブスと同じですね。

イタリア語表記だとColomboだけど。

コロンボといえば、『刑事コロンボ』。

刑事コロンボもイタリア系の刑事でしたからね。

このドラマの犯人は、だいたいアメリカ社会の中においてのアッパーミドルがほとんど。
それに対して、彼ら富裕層とは対極の経済的階層であるイタリア系の移民の刑事が、社会的地位の高い犯人を追いつめていくという構図が『刑事コロンボ』の面白さのひとつなんだけど、おそらくデューク・ピアソンの家計もイタリア系なのでしょう。

以前、同じくイタリア系移民の息子であるリー・アイアコッカの自伝を読んだ時、彼が小学生の頃は、けっこうホワイト・アングロサクソン系のクラスメイト達からは「や~い、このイタ公め!」みたいな感じでバカにされていたような記述があったことを思い出しました。
ピザのことを話すと、イタリアのアップルパイは、リンゴのかわりにトマトを乗せているんかい?!みたいにバカにされたことが書かれていましたからね。

昔のイタリア系の移民はアメリカの社会の中においては、地位が低い人が多く、想像以上に蔑まされていたことをうかがえるエピソードではありますが、だからマフィアが……、と、話が『コロンボ』から『ゴッド・ファーザー』に飛びそうなので、話を元に戻して、デューク・ピアソン。

なぜ、コロンボという名前の男の子がデュークなのかというと、彼のおじさんが付けたニックネームをそのまま名乗っていたから。

では、なぜ、デュークというニックネームをおじさんがつけたのかというと、そのおじさんは、デューク・エリントンのファンだったからのようで。

ジャズマンにとっては名誉なことですよね、あのジャズの重鎮、デューク・エリントンがニックネームの源なのだから。

だから、本人も気に入ってそのまま名乗るようになったとのこと。

そんなことを考えながら、《スイート・ハニー・ビー》を聴くと、さらに味わいが増すというもの。

スイート・ハニー・ビーSweet Honey Bee

このレトロなジャケットといい、《スイート・ハニー・ビー》の曲調といい、70年代のアメリカのドラマや映画がものすごく似合いそう。

もっとも、アルバム『スイート・ハニー・ビー』が録音されたのは、1962年なので、だいぶ早いのだけれど。

ピアニストであるデューク・ピアソンは、もちろん訥々とした独特なピアノも素晴らしいのだけれども、やはり作曲者、アレンジャーとしてのセンスが素晴らしいジャズマンだと思います。

ゴージャスで大人数編成の『ハウ・インセンシティヴ』なんかが、彼の作曲、編曲センスの本領発揮といったところなんでしょうけど、個人的には、少人数編成(セクステット)の『スイート・ハニー・ビー』が好きだなぁ。

記:2018/002/23

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