コミック版・高野悦子『二十歳の原点』
「若者よ、もう少し自分の頭で生きることを真剣考えなさい」という意図?
1969年、20歳のときに鉄道自殺をした立命館大学の学生・高野悦子の日記『二十歳の原点』がコミック化されていますね。
なんとなく、ミリオンセラーとなった『君たちはどう生きるか』のあやかり企画って感じがしないでもないんだけど、まあそれはさておき、「生きる」ことに自信を見出せない若者が多い現代、というよりも、その逆かな? なんの疑問もなく現状を受け入れ、諦観と達観ムードに覆われてている現代の若者たちに一石を投ずるという意図もあるのかもしれないね。
ぼんやりとスマホばっかり眺めてないで、少しは自分の頭で考えなさい、と。
よくあるパターンとして、現代に生きる「生き方に自信を持てない」主人公(女子大生)が昭和40年代にタイムスリップをして、高野悦子と知り合いになり、色々と学び成長してゆくというストーリー。
で、最後は自分の将来に確固たるビジョンと自信を持つようになったという流れ。
絵はスッキリきれいで現代風。
読みやすい。
各章の末尾には、軽く「まとめ」コーナーがあるので、当時の時代背景を知るには便利といえば便利かもしれない。
高校生のときに読み、おそらくは半分も理解も共感も出来なかった『二十歳の原点』ではあるけれども、このように「自分探しをしている主人公」という「第三の目線」があれば、比較的客観的に『二十歳の原点』を見直せるというメリットもあるにはあるけれども、やっぱり、一度原本を読んだ上で読んだほうが良い本なんじゃないかなと思った。
ま、このコミックをキッカケとして、原本を紐解くというのもアリだと思うんだけど、今の時代、これを読んだ若い人はどういう感想を抱くんだろうね?
記:2019/07/15