クラックリン/ロイ・ヘインズ
2021/02/05
強力なテナーとドラムのコンビ
コルトレーン&エルヴィン・ジョーンズ。
このテナドラコンビ(テナーとドラムのコンビ)の猛威に拮抗し得るのは、アーヴィン&ヘインズ!
このテナドラコンビしかあり得ない!とすら思ってしまうほど、エキサイティングな《スクーチー》。
こんなエキサイティングなドラムで背後から煽りに煽られまくれば、誰だって燃えざるをえないでしょう。
あるいは自爆?
タフなアーヴィンだが、さらにロイ・ヘインズのドラミングという強力なブースターが取り憑き、エンジン点火!
あるいはアーヴィンのお尻に、ヘインズが点火!?
結果、凄まじい加速度が加わり、熱血演奏が出来上がってしまった。
これはヤバい。
ヤバさを微塵も感じられないジャケットとのギャップも凄まじい(笑)。
鼓舞、鼓舞、煽る!
空間に細かく音符を敷き詰めるコルトレーンに、脈打つ大きなノリで煽るのがエルヴィンだとすれば、棒を切ったようにタフで豪快だが小回りが効かないアーヴィンに、細やかながら迫力に漲った「打」で、プッシュしまくるのがロイ・ヘインズのドラミング。
タイプはまったく違うが、ヘインズの細やかでスピード感のある煽りもサックス奏者を鼓舞してやまない。
そういえば、『セルフレスネス』でも、ヘインズはコルトレーンを強烈に煽りまくってましたね。
セルフレスネス・フィーチャリング・マイ・フェイヴァリット・シングス
とにもかくにも、カッコいい!ヘインズのドラミングとともに、カッコいい!アーヴィンのテナーも堪能出来る好アルバムが『クラックリン』なのだ。
ユル~い8ビートナンバーも収録
面白いのが《ハニー・デュー》という曲。
ジャズロック的なリズムだが、ビリー・ヒギンズなどが叩き出す、大らかで緩みのあるリズムを聴き慣れた耳には、ヘインズのジャズロック調8ビートって、妙に殺気立っているというか、オカズの一つ一つが妙に緊迫感があって、ノホホンとした曲調とは微妙なアンバランスが生じていて、そこが逆に面白い(笑)。
猛烈ナンバーもあるかと思えば、このようなユル~いナンバーも同時に聴けるというのが、良い意味でバランスや統一感のないこのアルバムの面白いところかもしれない。
album data
CLACKLIN'
- Roy Haynes
1.Scoochie
2.Dorian
3.Sketch of Melba
4.Honeydew
5.Under Paris Skies
6.Bad News Blues
Roy Haynes (ds)
Booker Ervin (ts)
Ronnie Mathews (p)
Larry Ridley (b)
1963/04/06