エンピリアン・アイルズ/ハービー・ハンコック

      2021/11/28

ハバード名盤

ハービー・ハンコックの代表曲といえば、《ウォーター・メロンマン》のほかに、もう1曲、似たようなテイストの《カンタロープ・アイランド》があります。

で、これ、すいぶん前ですが、US3が取り上げてけっこうヒットしましたよね(曲名は《カンタロープ》)。

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US3の《カンタロープ・アイランド》バージョンのほうが、オリジナルバージョンよりもなぜか速く聴こえちゃうという不思議(私だけ?)

使用音源はブルーノートのものだから、実際のテンポは一緒なはずなんだけど、リズムボックスの音が挿入されるだけで、速度の認識が変わってしまうのだから、人間の脳って、けっこうイイカゲンなもんなんだなと思います(私の脳に限ったはなし?)

先にUS3のほうを聴いてしまった後にオリジナルバージョンに触れた私は、最初はなんだかカッタルいというかトロいなぁと感じてしまったものです。

退屈にすら感じてしまった記憶があります。

とはいえ、リズムのエッジの鋭さは別として、フレディ・ハバードのトランペットに耳をフォーカスさせると、オリジナルにはオリジナルならではの味わいがあることに気がついたのが、わりと最近だったりします。

何年ジャズを聴いていても、「気づき」の連続ですなぁ。
もう一つ気づいたことといえば、このアルバムの参加メンバーに、ウェイン・ショーターが加われば、そのままV.S.O.P.ですな。

ま、それはいいとして、やはり、このアルバムでのハバードは、けっこう凄い。

もちろんハンコックの次作『処女航海』においてのハバードも凄いけれども、『エンピリアン~』のハバードも凄い。

彼のリーダー作といっても良いぐらい、充実したトランペットプレイなのです。

肉厚なトランペットの音色がババーッと勢いよく前に飛び出てくる。

迷いのない思い切りの良さ。
カッコいいです。

この演奏が功を奏して、次の作品(『処女航海』)にも起用されたのかな?

ところで、『処女航海』が「海の旅(航海とその情景)」の統一された題材のコンセプトアルバムだとしたら、この『エンピリアンアイルズ』も「島」がテーマにあるようです。

まずは、タイトルの「エンピリアンアイルズ」は、天空の島々でしょ?
オリロクィヴァリーが、オリロクィの谷。
あとは、代表曲の「カンタロープ・アイランド」は、マスクメロンの島という意味で、「ウォーター・メロンマン(スイカ売りの男)」という曲も作っているハンコックは、メロンとかスイカとかウリ科の植物が好きですなぁ。
「ジ・エッグ」は、最初玉子かと思ったけれども、そういう名前の火山があるらしいです。
「ワン・フィンガー・スナップ」の指パッチンだけが謎というか、もしかしたら島や火山に関係したアクションなのかもしれないけれども、今のところ「わからん」であります。

風光明媚な天空の島々に行ったら、温泉卵とマスクメロンでおもてなしされて、「やったぜ!」と、指パッチンして嬉しい気分の曲ってわけでもなさそうだしね。

ブルーノートのハンコックというと、『処女航海』『スピーク・ライク・ア・チャイルド』が傑作とされ、次点として《ウォーター・メロンマン》が収録された初リーダー作の『テイキン・オフ』という順序で認識され、『インヴェンションズ・アンド・ディメンションズ』や、このアルバムはあまり注目されないような気がするんだけど(そう感じているのは私だけ?)、いやいや、ブルーノートのハンコックのリーダー作は、どれもが甲乙つけがたい素晴らしいものばかりですよ。

もっと『エンピリアン』にも注目してみよう!

記:2015/05/21

album data

EMPHREAN ISLES (Blue Note)
- Herbie Hancock

1.One Finger Snap
2.Oliloqui Valley
3.Cantaloupe Island
4.The Egg

Herbie Hancock (p)
Freddie Hubbard (cornet)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)

1964/06/17

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