カフェモンマルトル

高野雲の雑記帳。音楽・映画・読書・模型。

ファー・クライ/エリック・ドルフィー

      2021/02/22


Far Cry

聴きやすいドルフィー

ドルフィー入門には最適なアルバムだと思う。

フルートによる美しい《レフト・アローン》が入っている。

この1曲で、エリック・ドルフィーを知らない人も、抵抗なく彼の世界に入ってゆけるのでは?

それだけではなく、他の曲も、リズムフィギュアはオーソドックスなハードバップを踏襲したスタイルなので、耳慣れたリズム形態に、ちょっとだけ“変わった”ウワモノ(サックス、フルート、バスクラリネット)にたいして、耳を徐々に馴染ませてゆけば良い。

ドルフィー奏でる跳躍の激しいウネウネとしたフレーズは、少し前の時代のスタイル(具体的にはビ・バップのチャーリー・パーカー)を発展、ディフォルメさせた独創的なスタイルだということが、分かってくるはずだ。

それに加えて、楽器を通して放たれるドルフィーの生々しい肉声。

この2つの大きな要素を掴めば、「ドルフィー的快感」は、もうあなたのもとに。

他のアルバムと比較すれば、過激過ぎない、終始穏やかさに貫かれている演奏内容ではある。

しかし、ポイントは、穏やではあるが、ヌルくはないところがミソ。

だから、ドルフィーの格好な入門盤なのだ。

そして、このアルバムを聴きこむほどに、ドルフィーのみならず、ロイ・ヘインズのシャープなドラミングが、じつはこのアルバムのムードの下地作りに大きく貢献していることに気づいてくることだろう。

彼のシャープなドラミングとロン・カーターの茫洋としたベースワークの対比も良いリズムフィギュアを形作っている。

先ほど「ドルフィー奏でる跳躍の激しいウネウネとしたフレーズ」と書いたが、《ミセス・パーカー・オブ・カンサス・シティ(バーズ・マザー)》におけるロン・カーターの短いアルコソロにも同様なことがいえる。なんだかよく分からないけれどもスピード感のあるウネウネっぷりには、ついつい耳をそばだててしまう。

ちなみにこのアルバムは、オーネット・コールマンの問題作『フリー・ジャズ』と同じ日に録音されている。

記:2009/06/30

album data

FAR CRY (Prestige)
- Eric Dolphy

1.Mrs. Parker Of K.C. (Bird's Mother)
2.Ode To Charlie Parker
3.Far Cry
4.Miss Ann
5.Left Alone
6.Tenderly
7.It's Magic
8.Serene

Eric Dolphy(as,bcl,fl)
Booker Little(tp)
Jaki Byard(p)
Ron Carter(b)
Roy Haynes(ds)

1960/12/21

 - ジャズ