ゴールデンカムイ11巻/野田サトル
増殖する変態人間
『ヤンジャン(ヤングジャンプ)』に好評連載中のアイヌと明治時代の北海道の歴史や文化についての知識が強引に身についてしまうマンガ『ゴールデンカムイ』。
とりあえず11巻までは読みましたよ。
物語が進むにつれて、どんどん「変態特殊人間」が増えてきています。
どんどんワンピース化しておりますな。
ただ、このコミックの場合は、登場する「変態特殊人間」は、実在した人物が多いところが『ワンピース』とは違うところだけど、誇張して描かれている彼ら彼女らは草葉の陰でどう思っているのでありましょうか。
主人公の杉元佐一もかなり頑丈特殊人間ではあるけれども、巻を追うごとに、どんどんマトモな人間に見えてきたゾ。
ま、一番マトモというか物語の中心軸はもう一人の主人公のアシㇼパさんだけど、キャラが増えるに従い、相対的に杉本のポジションは、そのアシㇼパさんに近い位置に見えてくるからだろうね。
極悪夫婦
今回の11巻に登場するのは、神出鬼没&電光石火の稲妻強盗・坂本慶一郎と、毒婦・蝮のお銀。
ゴールデンカムイ 11 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
明治時代、北海道に実在した犯罪者夫婦ですな。
『俺たちに明日はない』のポニー&クライドばりの、ハチャメチャな極悪カップルが、1930年代のアメリカ各地で強盗を働きまくったクライド・バロウとボニー・パーカーの何十年も前に活躍した最凶夫婦、ということに作品中では解説されています。
コミックでは坂本慶一郎となっているけれども、モデルとなったのは坂本慶次郎でしょうね。
蝮のお銀に関しては、おそらく「蝮のお政」がモデルなのでしょう。
愛した男のために窃盗を繰り返した明治の悪女・お政に関しては、レディコミの女王・魔木子の作品にも描かれていますが、
実際は、坂本慶次郎とお政が夫婦だった記録は見あたらないので、そのあたりは作者の創作でしょう。
この夫婦、もっと活躍して引きずってくれるのかと思ったのですが、意外と呆気なかったな。残念。もう少し引っ張ってくれたら良かったのに。
ま、次の変態、姉畑支遁(あねはた・しとん)に期待。
動物(の肛門)好きの獣姦変態の支遁のネーミングって、きっと『シートン動物記』のシートンからきているんでしょうな。
次巻(の変態)にも期待!
記:2017/08/20