ゴールデンカムイ 12巻/野田サトル
2021/02/13
変態さんがいく
『ゴールデンカムイ』の12巻は、あいかわらず「変態さんがいく」(まるしー別冊宝島146)であります。
ゴールデンカムイ 12 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
今回も変態、変態のオンパレードで、もはや同人誌などのネタ提供を「狙っている」としか思えないかのような面白さ。
んで、同人誌などの世界には疎い私なので、実際、本当にそうなのかどうか、『ゴールデンカムイ』が好きで、なおかつコミケなどで同人誌を買っている、BL好きのお方に問い合わせてみたところ、「もちろん、描かれまくり!」とのこと。
やっぱりそうか。
アニメ化されるそうですが、このテンション、この温度をどこまで移植することが出来るのか?!
さらに、もし実写化されるとしたら?
……いや、無理でしょうなぁ、別の話になっちゃいそう。
見開き入浴シーン
今回12巻の確信犯的読者サービスの白眉は、後半の巻末近くのエピソードにある、見開きページでしょう。
お風呂のシーンね。
全員オトコばかりの。
「さぶ」というか「薔薇族」というか、とにかく、そちらの方面の方にとっては垂涎な「神シーン」なのかも?
そういえば、その昔、『花の慶次』にも、主人公の前田慶次と直江兼続と伊達政宗の入浴シーンの描写があり(全員筋骨隆々)、それに萌えてる女子(あるいは男子)、いましたな~。
姉畑支遁死去!
それはそうと、11巻から気になる人物といえば、『シートン動物記』の「シートン」から名前を拝借したとしか思えない、姉畑支遁(あねはた・しとん)。
まあ彼の変態ぶりと、その欲望を達するまでの熱意と努力は書けばきりがないので割愛するけれど、支遁先生があっけなく死んだのはちょっと意外でした。
本当、あっけなかったですな。
杉元たちのパーティに加わって珍道中に拍車がかかることを少し期待はしていたんだけど、クマ姦中に腹上死とはね……。
ま、幸せそうな顔で逝けて良かったねということで。
別世界の物語
巻を重ねるごとにどんどん変態が増えていくような気がする『ゴールデンカムイ』ですが、近代化が国内すみずみにまで行き渡っていない日露戦争後の物騒な社会という背景と、北海道の雄大な大自然とそこに生息する動物、そして大自然と豊かに共存しているアイヌたちの暮らしぶりが丹念に描かれているので、もはや舞台は異世界。
そこに、現代社会のモノサシを持ちこんだところで意味がないわけで、もうあとは「ドバーッ!」となんでもありな勢いで、どんどん大人数の楽器奏者がコレクティヴ・インプロヴィゼーションで繰り広げるフリージャズ的な混沌世界に展開しておくんなせぃ!と思えてしまうのが、このマンガの良いところですね。
シマフクロウって翼を広げると予想以上にデカいんだとか、ラッコ鍋や海亀の鍋物ってマズそうだけど面白そう、特にラッコ鍋は男女二人っきりで試してみたいねとか、まあまあいろいろと役には立ちそうもないけれども(子どもと同じで、役に立たなさそうな知識ほど、面白いし、どんどん吸収してしまう)、知っているとおもしろい気分になれる雑学が相も変わらず盛りだくさんの12巻でした。
記:2017/12/29