ハーフノートの夜/ズート・シムズ&アル・コーン
「ハーフノート」でのライヴ
同じテナーサック奏者で、しかもプレイのスタイルも似ているので、時として、どっちがどちらだか分からなくなりがちなアル・コーンとズート・シムズのコンビ。
しかし、伸び伸びとしたプレイと、心地よくリラックスさせてくれる演奏はどのアルバムも折り紙つき。
このアルバムは、ニューヨークのジャズクラブ「ハーフノート」で行われたライブ演奏が収録されている。
ちなみに「ハーフノート」は、イタリア移民の家族が経営していたクラブで、ニューヨークのイースト・ヴィレッジに住むイタリア系の人たちでいつも賑わっていたそうだ。
白人3人のフロント
演奏内容は極上。
ゲストにはなんと、あのフィル・ウッズ(as)が参加している。
後半の2曲《ウィ・ドット》と《アフター・ユーヴ・ゴーン》だ。
白人サックス奏者3人、しかも3人とも卓越したベテランが一堂に会して熱演を繰り広げるのだから、これはなかなか贅沢な組み合わせだ。
ライヴならではのスリリングさとともに、安心して聴きとおせる安定感もある。
ズートとアルは似たようなスタイルのテナー奏者ではあるが、よく聴くと円やかな歌心がほんわりと醸しでるズートと、もう少し直線的である種律儀なフレーズを真っすぐに出そうとするアルのテナーの違いが分かってくるはず。
そして、この二人の似ているようで微妙に異なるテナーが交互に繰り出される快感は、なかなかのもの。
ライブならではの勢いも加わっているしね。
ピアノがモーズ・アリソンというのもユニーク。
彼の小粋なピアノも楽しめる。
臨場感ある録音ゆえ、ライヴハウスの熱気が手に取るように伝わってくる。
このようなクオリティの高い演奏が、50年代のニューヨークの夜に毎晩当たり前のように繰り広げられていたのだな。
記:2005/07/30
album data
JAZZ ALIVE! A NIGHT AT THE HALF NOTE (United Artists)
- Zoot Sims & Al Cohn
1.Lover, Come Back to Me
2.It Had to Be You
3.Wee Dot
4.After You've Gone
Zoot Sims (ts)
Al Cohn (ts)
Phil Woods (as) #3,4
Mose Allison (p)
Knobby Totah (b)
Paul Motian (ds)
1959/02/6&7