ヘヴィ・ウェザー/ウェザー・リポート
神保町でヘヴィ・ウェザー
本日の午後は、ジャズ喫茶漬けだった。
正確にいうと、息子がジャズ喫茶漬けだった。
息子を連れて、神保町のジャズ喫茶「BIG BOY」へ行ったのだが、私は、途中でCDの買い物をしたくなったので、息子を置いて、渋谷の「タワーレコード」でショッピング。
私が留守にしている間の2時間の間、息子は1人で「BIG BOY」のカウンターで、コーラやオレンジジュースを飲んだり、本を読んだり、絵を描いていたようだ。
そうこうしている間にも、ジャズはガンガン鳴っているわけで、先週もそうだったが、息子の午後はジャズ漬け。
私が渋谷から戻ってきて、再びカウンターで本を読んだり原稿を書いているうちに閉店時間に。
カウンターの奥の女性客が、ジャズ雑誌を開き、マスターに、「ウェザー・リポートってなんですか? マイケル・ブレッカーって誰ですか?」と熱心に質問をしている。
それに対してのマスターの回答が、コレ。
ウェザー・リポートの『へヴィ・ウエザー』。
ポップでキャッチー。「ジャズ」な気分にはなれない
ウエザー・リポートを知らない人に最初に紹介するには妥当なアルバムだと思う。
もちろん代表曲《バードランド》が冒頭のA面。
あまりに正しい「模範解答」ではある。
しかし、これがかかりはじめると、うーん、やっぱり違うんだよなぁ。
好みじゃない。
もしかしたら、「BIG BOY」のJBL4343から放たれる大音量で聴けば、少しは感じ方が変わるかもと淡い期待を抱いてはいたのだが、やっぱ、ダメだった……。
私の隣にいらしたデザイナーの友人も、「う~ん、20年ぶりに聴いたけど、やっぱなぁ……」
そうなんです、ガチガチな偏屈ジャズおたくな我々からすると、これって、あまりにポップで、キャッチーで音の肌触りからしてジャズ喫茶で聴く気分の内容じゃないんですなぁ。
マスターが我々に「ウェザー・リポートったら、やっぱこれでしょ?ダメ?」と聞いてくるけど、我々の反応は、「だーめ!」(笑)
もちろん、冗談めかしてだよ。
だって、ウェザーリポートを知りたいというお客さんに向けてサービスかけているわけだから。
さっきも書いたけど、適切なセレクションだと思う。
個人的な好みだけをいっちゃえば、私は、やっぱりウェザーは、ベーシストがジャコ以前のものがいい。
つまり、ミロスラフ・ヴィトウス参加の初期のやつ。
もっと言っちゃえば、『アイ・シング・ザ・ボディ・エレクトリック』がいい。
しかし、息子は、《バードランド》を聴きながら、「うん、これ、なかなかいいじゃん」という反応。
家にはこのアルバム、もちろんあるんだけれども、滅多にかけないアルバムだから、息子にとっては初耳の音楽だったのだろう。
《バードランド》と《お前のしるし》が気に入った模様。
その前にかかっていた、ドド・マーマロサの『ドドズ・バック!』のA面と、ケニー・ドーハムの『ショート・ストーリー』アルバムまるごと1枚という、自分の父親がめちゃくちゃ大好きなアルバムの必殺連続攻撃には無反応だったくせに(笑)。
私が大好きなアルバムの必殺連続攻撃だったんだけれど、この渋カッコいいセレクションと流れは、きっと「通」じゃないと分からない世界なのかもしれない。
小学2年生には、この渋カッコ良い流れ、さすがに分からないか。
ま、それはそれでいいんじゃない?とも思っているけど。
ジャズについてのエトセトラは息子にはほとんど教えていないけど(マイルス・デイヴィスとローランド・カークのビデオを見せた程度)、そんな息子が、「これいいね」と初めて自分から感想を漏らしてくれたことは、ジャズ馬鹿父親としてはちょこっと嬉しかったぞ。
今度は、ケニー・ドーハムに反応しなさい。
いや、まだ20年早いかな?
さて、あまり良いことを書かなかった『ヘヴィ・ウェザー』ではありますが、確かにジャズ喫茶で聴く「ジャズっぽいジャズ」とは言い難いけれども、ウェザー初心者にはオススメのアルバムであることには間違いありません。
記:2007/06/16
album data
HEAVY WEATHER (Columbia)
- Weather Report
1.Birdland
2.A Remark You Made
3.Teen Town
4.Harlequin
5.Rumba Mamá
6.Palladíum
7.The Juggler
8.Havona
Joe Zawinul (key)
Wayne Shorter (ss,ts)
Jaco Pastorius (el-b,vo,steel drum)
Alex Acuña (ds,per)
Manolo Badrena (per,vo)
1976-1977