イン・マイ・エレメント/ロバート・グラスパー
2021/01/23
ピアノトリオでピアニスト、グラスパーを知る
ロバート・グラスパー、ブルーノートでの2作目だ。
『ブラック・レディオ』や、その『2』などは、どちらかというと、アレンジャー、プロデューサーとしてのグラスパーを味わえる内容で、彼自身のピアノはあまり(というかほとんど)ソロを取っておらず、彼のピアノをたっぷり聴きたいという人にとっては不向きな内容だったといえる。
そんなストレスを抱えている人には、コチラ。
もちろん、このアルバムもグラスパーはプロデューサーなんだけれども、なにしろ編成がピアノトリオなので、グラスパーのピアノをたっぷりと味わいたいという人には嬉しい内容なのではないかと思う。
まず、冒頭の《G&B》から思わず「おっ!」と身を乗り出してしまう。
性急で前につんのめるようなメロディ。
このノリ、体感するリズムは少々攻撃的でありながらも、これがなかなか気持ち良いのだ。
もちろん人によっては、このリズム感覚には馴染めないという人もいるかもしれないし、ずっと聴いていると飽きるという人もいるかもしれない。
また、見た目とは裏腹に(?!)、ピアノのタッチは軽やか。そしてもちろん、つんのめる抑揚だけではなく、流麗にそれこそ流れるようなタッチもお手の物。
ピアノでありながらも、どこかエレクトリックピアノ的な音価を感じさせるニュアンス。
軽やかでありながらも、一音一音の音のコシはしっかりしているため、ハードなアプローチから、ソフトなアプローチまで溶け込んでしまうピアノのタッチと和声感覚。
このあたりがピアニスト、ロバートの特徴なのだろう。
ハンコックの名曲、《処女航海》やレディオヘッドのナンバーも演奏しているが、前後につながるこの2曲は、まったくもって違和感なし。
楽しく刺激的なピアノトリオだ。
記:2014/03/10
album data
IN MY ELEMENT (Blue Note)
- Robert Grasper
1.G&B
2.Of Dreams to Come
3.F.T.B.
4.Y'outta Praise Him (Intro)
5.Y'outta Praise Him
6.Beatrice
7.Medley: Maiden Voyage / Everything in Its Right Place
8.J Dillalude
9.Silly Rabbit
10.One for 'Grew
11.Tribute
Robert Glasper (p)
Vicente Archer (b)
Damion Reid (ds)
2006/09/21 - 11/01