iPhoneの音声入力、使えます!~「こっそり本」執筆ウラ話
本文のほとんどは音声入力
先日発売された『ビジネスマンのための(こっそり)ジャズ入門』(シンコーミュージック)ですが、この本の本文の多くは、私、書いていません。
いや、もちろんゴーストライターを使ったとかそういうのではなく、要するに、パソコンのキーボードをパチパチと打って書いてはいないんですね。
ほとんどが音声入力です。
コンセプトが「入門書」ということもあり、本文はできるだけ親しみやすく読みやすい内容にしようと考えた末、本文は話し言葉調にしようと思ったのですね。
以前、2年間ほどジャズのラジオのパーソナリティを務めていたこともあり、ジャズを「喋る」ことについては抵抗感がなかったということもあります。
iPhoneで音声入力
使用したのは、iPhoneの6sです。
この機種、音声入力をしたときの言葉の識別能力の性能にはすばらしいものがあります。
ジャズマンの名前やアルバム名などの固有名詞は誤変換されてしまいますが、それは致し方のないこと。
しかし、それ以外の一般的な文章というか話し言葉は、内容がひらめいた際、一気に早口でまくし立てても、かなりの精度で文字を正確にかつじに置き換えてくれるので、随分と助かりました。
入力iPhone、修正Mac
話し言葉で音声入力をすると、話しながら思い浮かんだ順にどんどんマイクに向かって話すことになります。
そうすると、少し前に話した内容と重複する箇所が出て来ることがあります。いや、私の場合は随分と多かったんですが……。
しかし、そういう箇所は、後ほどパソコンのモニターを見ながら、マウスとキーボードを使って修正していくわけです。
ここで初めてPC登場!って感じですね。
iPhoneに向かって喋り倒して、 Macブックで鬼のように編集する。
このような手法を使って書き上げたのが「こっそり本」なのです。
編集の力・まるで他人の文章
もっとも、自分ではデスクトップ上のモニターでテキストを推敲し、「よし、これで大丈夫だろう!」と思って入稿しても、編集者からは重複が多いと指摘されてしまいました。
……反省。
やっぱり、いくらお気楽気分で文字を入力したとしても、いったんテキスト化されてしまうと、バッサリと削る勇気がなかったんだろうなと思います。ヘンに愛着が湧くというか。要は貧乏性なだけなのですが……。
ですので、編集者が私の内容が重複しまくった原稿を手直しする労力は大変だったと思います。
ゲラ(初校)が送られてきた時は、まるで自分が書いた(喋った)内容とは思えぬほど、文章が読みやすく、整然としていたのですから。
内容は、たしかに自分が書いたことには違いがないのだけれども、まるで他の人が書いた原稿を読んでいる感覚でスイスイと読むことが出来ました(そのぶん、著者校チェックが甘くなってしまったかもしれない)。
おそらく編集の方は相当苦労して私の「喋り言葉を私なりに編集した文章」をわかりやすく整えてくれたのでしょう、感謝です、
というか頭が上がりません。
本当の売りポイントは?
ちなみに、この「こっそり本」ですが、すべての文章を音声入力したわけではなく、アルバム紹介のところは、指でパチパチとキーボード入力をして書きました。
本文のところは敬体(です・ます調)ですが、アルバム紹介のところは常態(だ・である調)で、ここの箇所は完全に手打ちです。
本の内容にメリハリをもたらすという意図ももちろんあるのですが、アルバム紹介の字数の上限が120ワードということもあったので、その少ない文字数の制約の中、敬体で書いてしまうと、あっというまに字数オーバーしてしまうと考えたからです。
もっとも、この内容の多くは、現在ツイッター上で、botを使って自動つぶやきしているテキストをベースに加筆した物が多いですね。
規定の字数をオーバーしないように、twitterのbotに登録している文章を削ったり加筆したりと、自分がかつて書いたテキストをこねくり回す作業が結構楽しくて、この作業をしている時は、「ああ、自分はダラダラとした長文よりも、短文を書く(編集する)方が向いているのかなぁ」なんて思ったものです。
というわけで、実は、この本で著者本人がもっとも読んでほしいというか、「売り」にしたい隠れコンテンツは、アルバム紹介のところだったりします。
ぜひ、各ジャズマンを紹介した本文の後にオマケ的についているアルバム紹介のコーナーの小さな文字も見逃さずに読んでみてくださいませ。
記:2016/11/09
追記
ちなみに、この記事は音声ではなく、指入力です。
10分前後で、後を振り返らず、誤字脱字を気にせず一気に書き上げ、40分以上かけて誤字脱字を修正したり、3分の1以上のテキスト量を加筆しました。
ゼロから文字を絞り出す作業よりも、いったんテキストになったものに、つまり、ラフでもいいから全体が見えるカタチになったものに対して、文字を足したり引いたり加えたりするほうが個人的には好きみたいです。