男の嫉妬はまわりくどくて面倒くさい『竹内涼真の撮休』4話「シェアハウス」

   

羨ましい、しかし素直に認めたくない

Netflixで配信している『有村架純の撮休』……、
のほうではなく、『竹内涼真の撮休』。

この4話「シェアハウス」が興味深い。

要は、人はちょっとした偶然の一致に何らかの法則性を見出そうとする性質があることと、男の嫉妬は面倒くさいということがリアルに描写されたエピソードだ。

売れない放送作家、地下アイドル、3流お笑い芸人、定期的な仕事のないライター、そして俳優・竹内涼真の5人が住むシェアハウスでのエピソードなんだけど、これがなかなか秀逸な脚本なのだ。

それに加えて、それぞれの役割を演じる俳優たちが醸し出す微妙に淀んだ空気も最高。

このエピソードだけは面白いので数回観なおしている。

ぽんぽん仕事が舞い込んでくる竹内涼真にからむ男2人のザンネンっさぷりが涙、涙なのである。

3流芸人が占い師に占ってもらったところ「共同生活者」の中に「運を吸い取る人間がいる」といわれたというところからエピソードが始まる。

いうまでもなく、矛先は仕事が次から次へと舞い込んでくる今や売れっ子の竹内涼真ということになる。

この3流芸人の場合は、遠回しに「お前は運を吸い取るから、ここから出て行ってほしい」という主張。
比較的ストレートというか、自らの実力の未熟さ加減を顧みない馬鹿さ加減もストレートでわかりやすい。

その一方で、おそらくはこのシェアハウスの中ではもっとも年長者であろう放送作家(劇作家?)は面倒くさい。

あくまで、年長者としての沽券を維持しようとしつつ、さらに自分は竹内涼真に嫉妬なんてしていないよという体裁を崩さないスタンスで、竹内涼真に絡む。

そもそも「売れる」とは何かという定義づけからスタートし、挙句、自分をゴッホとなぞらえてみたりと、ザンネンっぷりが少しずつ露呈していく流れが面白い。

そして、男子は比較的、そういった理屈っぽく遠回りな会話を好むタイプは少なくないのだが、女子の場合は、そういう回りくどく理屈っぽい物言いを嫌うことが多い。

だから、本質をズバリと突く地下アイドル(佐津川愛美)のセリフ、そして表情が秀逸だ。

そうなんだよ、男は嫉妬深い生き物なのだ(もちろん、男子全般とはいわないが)。

で、その嫉妬深い自分も心の底ではちゃんと気づいている。
そして、そういう嫉妬深いことがみっともないことであることも分かっている。
だからこそ、自分は嫉妬していないんだ、あくまでこれ一般論なんだよというカムフラージュをかけることも忘れない。
しかし、隠そうとすればするほど、逆に痛々しさが顕わになるため、女子にはバレバレ。
余計にみっともなさを露呈させてしまうことに。

ああ、なんとも哀しき生き物よのぉ、なんて思いながら観ています。

むやみやたらに「比較しない」。
これが、出来事のひとつひとつに心が躍ったり沈んだりすることなく安穏とした人生を送る秘訣なのだと改めて気付かせてくれるエピソードでもある。

この構図、大学生の就職活動の「内定とれた・内定とれない」の人間関係にもそっくりそのまま当てはまるかもしれない。

記:2021/03/03

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