ジュジュ/ウェイン・ショーター

      2023/06/06

説明不能な魅力たっぷり

ウェイン・ショーターの魅力を伝えることは難しい。

茫洋として、捉えどころが無い感じ。

……と書いた時点で、「うーん、なんか違うなぁ」という感じもするし、「不思議なメロディー感覚」と表現しても、なんだかありきたり過ぎる気がする。

でも、「これ以上、一体なにをどういえばいいんだい?」という気もする。

『ジュジュ』は、そんなショーターの魅力を味わえる一枚で、ワンホーンだから、存分に彼のテナーを味わえる。

ブルーノート吹き込みの2作目だ。

バックが当時のコルトレーンのリズム隊なので、より一層ショーターとコルトレーンの資質の違いが浮き彫りになる。

というより、より一層、ショーターのメロディ感覚やアドリブのメカニズムの特異さが際立つ感じ。

音の一つ一つを積み重ねによって空間を構築するタイプがコルトレーンだとすると、空間になんともいえないムードを噴霧するタイプがショーターだ。

で、その中間がジョー・ヘンあたりなのかな、と個人的には思っている。

『ジュジュ』収録の曲は、全曲ショーターのオリジナル。

共通していることは、どの曲も比較的聴きやすいテーマのメロディとアドリブだということ。

そして、曲の中にそこはかとなくオリエンタルな雰囲気の旋律を上手に忍び込ませているというのが、『ジュジュ』収録ナンバーの特徴か。

とくに、「売春宿」を意味する《ハウス・オブ・ジェード》のまったりとした曲調がたまらない。

それとは対照的な、エキサイティング、かつワビサビの効いている《イエス・オア・ノー》は、マッコイとエルヴィンの好サポートを得て、本アルバムの中ではベストな仕上がりだと思う。

聴きやすい上に、重厚かつミステリアスな『ジュジュ』は、言うなれば「肉厚摩訶不思議」なアルバムといえるだろう。

記:2002/05/23

album data

JUJU (Blue Note)
- Wayne Shorter

1.Juju
2.Deluge
3.House Of Jade
4.Mahjong
5.Yes Or No
6.Twelve More Bars To Go

Wayne Shorter(ts)
McCoy Tyner (p)
Reginald Workman (b)
Elvin Jones (ds)

1964/08/03

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追記

肉厚なショーターのテナーサックスの音色ももちろんメチャクチャ美味しいのですが、この美味しさにさらに拍車をかけてくれるエルヴィンのドラムも、これまた凄いのです。

もう少し、ドラムのバランスが大きいといいのになぁ、なんて耳を凝らしているうちに、ほんとうにドラムの音しか聞こえなくなってくる。

もしかして、それが狙いだったり?

タイトル曲の《ジュジュ》。

このバックで、複雑なポリリズムをエネルギッシュに連打するエルヴィン・ジョーンズが最高です。

もちろん、コルトレーンのバックで叩くエルヴィンも、基本、《ジュジュ》と何ら変わったことをやっているわけではないのだけれども、上に乗っかるサックスの音色やフレーズが違うだけでも、こうも聞こえ方が違うとは。

「もう耳タコ!」という人も、是非改めてドラムに耳をフォーカスして、いま一度聴いてみてください。

記:2016/09/15

 - ジャズ